第39回東京国際映画祭で上映されたチウ監督の長編第2作『腹喜 四つの饗宴奇譚』は、中国四川省の食文化と奇譚を軸に、4000年にわたる人間の生と死、記憶、祝祭を描く作品です。本作では、撮影現場でも監督自らが料理を振る舞い、出演者の体重が約6キロ増加するなど、食が制作の中心にありました。
作品の概要
中国四川省の食文化と4000年の歴史を巡る饗宴の物語
デビュー作『椒麻堂会』(2021年)でロカルノ国際映画祭審査員特別賞を受賞したチウ監督の第2作。本作は、古代中国の村の葬儀や王の帰還を祝う宴など、四つの饗宴をめぐって物語が展開します。特に第3部では、「東坡肉(トンポーロー)」を考案したとされる宋代の詩人・蘇軾(蘇東坡)に焦点が当てられ、朝廷との軋轢から幾度も僻地へ左遷されながら、その地で新たな料理を生み出していく詩人の姿が描かれます。
制作の背景
2022年のコロナ禍に企画が始まり、監督の家族史から着想
チウ監督は、本作の企画を新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた2022年に始めたと振り返ります。出発点は、監督自身がルーツを持つ四川省の家族史や個人史、そして人々の日常生活の歴史でした。身近な人々の暮らしや土地に根差した個々の経験を描くことから、より大きな歴史の枠組みへと広げていき、4000年という時間軸を持つ本作へとつながりました。
撮影現場での食事エピソード
監督が自ら料理を用意し、出演者は体重6キロ増
- チウ監督は撮影現場で料理を用意し、出演者たちに振る舞っていた
- 出演者たちは実際に食事を楽しみながら撮影に臨んだ
- 俳優のワン・ハイは、撮影期間中に体重が約6キロ増えたと明かした
食を重要な題材とする本作では、料理そのものが現場の経験の一部となっていました。劇中の食文化だけでなく、撮影現場での食事もまた、登壇者たちにとって印象深い経験となったようです。
キャラクターの造形と意図
三つ編みのおさげや尻尾に込められた生命と感情の表現
劇中に現れる三つ編みのおさげや尻尾といった特徴的な造形について、チウ監督は次のように説明しました。
- 三つ編みのおさげ:喜びや悲しみといった人物の内面の動きを表現
- 尻尾:食べることによって生命をつなぎ、次の世代へと命を受け渡していくという発想から
これらの設定は、本作のために創作したフィクションでありながら、それぞれの形に人物の感情や生命のイメージを込めたと監督は語っています。祭祀にあたって犠牲を捧げ、祖先に奉献するという発想に基づき、身体の一部を通して生命の継承を表現するという考えが反映されています。
映画祭情報
第39回東京国際映画祭は11月4日まで開催中
第39回東京国際映画祭は、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で11月4日まで開催されています。本作に関心のある方は、ぜひ足を運んでみてください。









