第39回東京国際映画祭コンペティション部門で上映されたポルトガル映画「獄中の記憶」は、19世紀ポルトガルの作家カミーロ・カステロ・ブランコとその恋人アナ・プラシードの実人生に基づく作品です。Q&Aでは監督と主演が撮影や音楽の演出について語り、映画の見どころが明らかになりました。
映画化のきっかけはプロデューサーの提案
- 企画はポルトガルを代表するプロデューサー、パウロ・ブランコからの提案がきっかけ。
- カステロ・ブランコは19世紀ポルトガルを代表する作家で、その知名度はチャールズ・ディケンズやアーサー・コナン・ドイルに匹敵する。
- 彼の作品には当時のポルトガルの文化や社会が反映されている
- すでにマノエル・ド・オリベイラやラウル・ルイスなど有名監督たちによって5本の映画が制作されている
主演女優が語るアナの内面
- アナは社会や教会、家族からの批判や偏見にさらされ、さまざまな葛藤を抱えた人物
- 19世紀のポルトガルでは姦通が違法とされ、発覚すれば2人とも投獄される可能性があった
- 彼女は悲しみと喜び、抑圧と解放が入り交じる人物の内面を意識して演じた
撮影の舞台裏:牢獄はセットで作られた
- 作中で描かれる場所や出来事の一部は歴史的事実に基づく
- 牢獄は現在博物館となっており、実際に撮影できなかったため、セットを建設
- 鏡など撮影上の工夫を取り入れて、CGを後から加えるない、可能な限り実際の撮影によって映像を作り上げた
- 複数の人物の物語をひとつの作品にまとめるのは容易ではなかったが、当時の人々の関係や背景を踏まながら構成していった
音楽は控えめに、空気感を重視
- 作品において音楽そのものは重要な要素ではなく、むしろ獄中の空気や雰囲気を捉えることを重視
- カステロ・ブランコは物悲しい人物であり、物語にも同様の性格があるため、その感情に合う音楽を選んだ
- エンドクレジットではハイドンの交響曲のアダージョを使用した
ボイスオーバーと声の演出
- 台詞のない場面の感情を、後から声によって表現する演出
- 脚本の段階からナレーションやボイスオーバーが書き込まれており、その役割を理解したうえで演じていた
- 特に印象に残っている場面として、若い家政婦パウラとの会話を挙げた
- アナは、女性が男性と同じように扱われない社会に強い不満を抱き、女性の不平等に抗おうとする人物
作品の位置づけ
- 描いているのはアナとカステロ・ブランコの生涯全体ではなく、2人がともに過ごした数年間の一部分にすぎない
- その後、2人は生活を共にし、カステロ・ブランコは作家として作品を残した
- 2人の人生の一時期を切り取った物語として受け止めてほしい
第39回東京国際映画祭でのQ&Aを通じて、実在の投獄体験を描く本作の演出のこだわりが明らかになりました。今後の劇場公開や配信情報に注目です。









