・『路傍の石』(1938)は、山本有三の同小説を映画化したもので、文部省推薦映画の第1号作品でもある。
・『路傍の石』は、1937年に朝日新聞に連載された。日中戦争が勃発し、国中は「挙国一致」体制が強化された時期。1940年には断筆、未完となったが、背景には国の検閲が入ってきたことによる。
・『路傍の石』は、その後1955年、1960年、1964年(戦前、戦後を含め計4回)映画化された。またテレビドラマ版、テレビアニメ版もある。
・関連作:『路傍の石』(1964)『瀧の白糸』(1933)『サムライの子』(1963)
映画『路傍の石』あらすじ・動画
映画『路傍の石』あらすじ
~あらすじ・解説~
居所も知れぬ父と室町小町と呼ばれた母をもつ愛川吾一は、稲葉屋の裏店で母と二人きりの生活を続けていた。厳しい境遇にもめげず自立した人間になろうと努力する少年の姿を描いた山本有三の名作を田坂具隆監督が映画化(現存119分)。出典:Amazon
映画『路傍の石』予告動画
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映画『路傍の石』監督・キャスト、原作紹介
映画『路傍の石』基本情報
本作(タイトル) | 路傍の石 |
公開年 | 1938年 |
上映時間/再生時間 | 2時間10分 |
監督 | 田坂具隆 |
キャスト | 愛川吾一・・・片山明彦 愛川おれん・・・滝花久子 愛川庄吾・・・山本礼三郎 次野立夫・・・小杉勇 熊方信義・・・江川宇礼雄 久美田住江・・・沢村貞子 |
音楽 | ― |
主な受賞歴 | ・文部省推薦(現:文部科学省)映画の第1号作品 |
制作会社/配給元 | 日活 |
映画『路傍の石』原作紹介
原作:「路傍の石」 山本有三
映画『路傍の石』関連作品
『路傍の石』(1964)の関連作として『瀧の白糸』(1933)『サムライの子』(1963)を紹介します。
どちらも日本の映画史に残る名作です。しかし、この二つの映画には、意外な共通点があります。
それは、どちらも泉鏡花の作品を原作としていることです。泉鏡花は、日本文学の巨匠として知られる小説家ですが、彼はまた新派劇の創始者でもありました。
新派劇とは、明治時代に始まった日本独自の演劇で、現代的な社会問題や人間関係を描いたものです。泉鏡花は、新派劇の台本を多数書きましたが、その中でも特に人気が高かったのが『瀧の白糸』でした。
この作品は、水芸師として生きる女性・白糸と、士官を目指す青年・欣也との悲恋を描いたもので、1907年に初演されて以来、何度も舞台化されました。そして、映画化もされましたが、その回数はなんと6回にも及びます。
最初の映画化は1933年で、監督は入江たか子でした。
入江たか子は、日本初の女性映画監督であり、女性の視点から社会や恋愛を描きました。白糸役は岡田嘉子でした。
岡田嘉子は、当時人気のあった女優であり、美貌と演技力で観客を魅了しました。欣也役は沢村国太郎でした。沢村国太郎は、新派劇や歌舞伎などで活躍した俳優であり、入江たか子とは夫婦だったこともあります。
一方、映画『サムライの子』は、1963年に製作された日活の作品です。
この作品は、北海道から東京へ引っ越した少女・ユミが、大人たちの偽善や暴力に直面しながら成長していく姿を描いたものです。
原作は泉鏡花の小説「サムライ」でしたが、映画では大幅に改変されました。監督は若杉光夫でした。
若杉光夫は、「日活ニューウェーブ」と呼ばれる若手監督の一人であり、社会派や青春映画を手掛けました。ユミ役は田島令子でした。
田島令子は、当時10歳だった子役であり、本作がデビュー作でした。田島令子は、ユミの純真さや反抗心を見事に演じました。ユミの父親役は高橋英樹でした。高橋英樹は、日活の看板俳優であり、本作ではサムライの精神を持つ男性を演じました。
映画『瀧の白糸』と『サムライの子』は、時代やジャンルが異なりますが、泉鏡花の作品を原作としているという共通点があります。また、それぞれに制作秘話や役者秘話があります。これらの映画は、日本の映画史において重要な位置を占めるものです。ぜひ、観てみてください。
以下の作品のDVDパッケージ「画像」をクリックすると、Amazon・楽天で作品詳細等を確認することができます。
『路傍の石』(1964)
監督:家城巳代治
出演:淡島千景、中村賀津雄、池田秀一、佐藤慶
こちらは、1964年公開の『路傍の石』。
『瀧の白糸』(1933)
監督:溝口健二
出演:入江たか子、岡田時彦、村田宏寿、菅井一郎
『サムライの子』(1963)
小学生の田島ユミは、北海道の田舎の学校から大都会の学校へ転校できると聞いて喜んだ。しかし父に連れて来られた引っ越し先はひどい貧困街だった。貧しい生活をするひとりの少女の姿を通して、虚飾に満ちた大人の世界に抵抗する新しい世代の成長を描く異色の社会ドラマ。
出典:Amazon
監督:若杉光夫
出演:田中鈴子、小沢昭一、南田洋子、浜田光夫、松尾嘉代
映画『路傍の石』口コミ(見どころ・感想)
映画『路傍の石』口コミ(見どころ・感想)
情緒豊かでありながら力強さにあふれた作品で、個人的に戦前の映画でナンバーワンの名作です。
成績優秀で、進学を志していた少年吾一が、大人たちの都合で臨みを絶たれ、困難に耐えながら自分の力で人生を歩む術を身に着つけてゆく物語です。情緒豊かでありながら力強さにあふれた作品で、個人的に戦前の映画でナンバーワンの名作です。この映画で注目していただきたいのは、登場人物の誰もが小学校を卒業したばかりの吾一を良くも悪くも一人前の大人として接している点です。映画の雰囲気に慣れるまで戸惑う人も多いでしょう。しかし、それによって一人一人の行動に重みが増し、物語に引き込まれていきます。そんな効果も手伝って、吾一を心から応援する教師の次野や、書店の主人黒川の優しさに観客も大いに感激することでしょう。
なかなか忍耐が報われない吾一でしたが、風変わりな青年熊谷との交流をきっかけに自分の心を開放してゆくことになります。
最後には見ている側も「スカッ」とするシーンが用意されているので、どうぞお楽しみにしてください。
~感想~
まず一番初めに思ったのことが、戦前のいじめは今とは違う怖さがあるということです。
気に入らない人間にはネチネチと嫌味を言うでもなく、怒鳴り散らす訳でもないんですね。
さりげなく、でもはっきりと心の窓を閉めるんですね。本当に怖くて悲しい方法です。
小学校の同級生だった麻太郎の実家に奉公に出された時の吾一の目の表情が印象的でした。
しかし、困難な状況になると、勉学への希望が確信に変わって、目の輝きが増していったことに一観客として驚きました。
この映画の原作となる小説は日本が軍国主義に突き進んでいく中で書かたものだそうです。
日常生活の中に戦争が入り込むようになると、作者の山本有三は筆を折り、小説は未完のままとなってしまったとのことです。
吾一の自己実現を強く望む生き方は、その後の日本では受け入れられないことを予期していたのかもしれませんね。
その時ほどではないにしても、今の日本は重苦しい雰囲気で溢れています。ぜひこの生命力に溢れた作品をテレビで見てみたいと感じています。
映画『路傍の石』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 6.0 | 6.1 | 3.6 | 3.0 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2022年5月1日時点のものです。
映画『路傍の石』まとめ
映画『路傍の石』エンタメのまとめ
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