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POINT:
・『恐怖分子』(1986)は、台北を舞台とした3組の男女の、他人を傷つけながら生きる、都会人の殺伐たる生きざまを描いた、台湾の鬼才・エドワード・ヤン監督作品。
・『恐怖分子』は、金馬奨最優秀作品賞(1987年)、第40回ロカルノ国際映画祭銀豹賞、第32回アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞を受賞した。
・エドワード・ヤン監督作品: 『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991) 『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994)『カップルズ』(1996) 『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)
・関連作: 『風櫃(フンクイ)の少年』(1983) 『青春神話』(1992) 『一瞬の夢』(1997) 『象は静かに座っている』(2018)
目次

映画『恐怖分子』あらすじ・動画

映画『恐怖分子』あらすじ

~あらすじ~
銃声が響き渡る朝。警察の手入れから逃げだした混血の少女シューアン。その姿を偶然カメラでとらえたシャオチェン。
上司の突然の死に出世のチャンスを見出す医師のリーチョンと、執筆に行き詰まる小説家の妻イーフェン。
何の接点もなかった彼らだが、シューアンがかけた一本のいたずら電話が奇妙な連鎖反応をもたらし、
やがて悪夢のような悲劇が起こる……。

出典:Amazon

 

映画『恐怖分子』予告動画

 

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映画『恐怖分子』監督・キャスト、原作紹介

映画『恐怖分子』基本情報

本作(タイトル)恐怖分子/The Terrorizers/Kong bu fen zi
公開年1986年
上映時間/再生時間1時間49分
監督エドワード・ヤン(楊徳昌)
キャストイーフェン(周郁芬)・・・コラ・ミャオ
リーチュン(李立中)・・・リー・リーチュン
シェン(沈)・・・チン・スーチェ
クー警部(顧警部)・・・クー・パオミン
シューアン(淑安)・・・ワン・アン
シャオチャン(小強)・・・マー・シャオチュン
音楽/主題歌
ウォン・シャオリャン
主な受賞歴・金馬奨最優秀作品賞(1987年)
・第40回ロカルノ国際映画祭銀豹賞
・第32回アジア太平洋映画祭最優秀脚本賞
制作会社/配給元リャオ・チンソン/ビターズ・エンド、Far East Entertainment Company、ZEMBUN

映画『恐怖分子』原作紹介

脚本:エドワード・ヤン

映画『恐怖分子』関連作品 ~エドワード・ヤン監督作品~

エドワード・ヤン監督作品『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991) 『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994)『カップルズ』(1996) 『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)を紹介します。

これらの作品に共通する点は、台北を舞台にした群像劇であるということです。エドワード・ヤンは台北を自分の故郷として愛しており、その街の変化や多様性を映画に反映させています。

また、登場人物たちはそれぞれに複雑な背景や思いを持ち、互いに影響しあいながら物語が展開していきます。

エドワード・ヤン監督は登場人物たちの心理描写に非常に細心の注意を払っており、彼らの感情や動機を観客に察させるような演出を心がけています。

 

 

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『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991)

~あらすじ~
1960年代初頭の台北。建国中学昼間部の受験に失敗して夜間部に通う小四(シャオスー)は不良グループ〝小公園“に属する王茂(ワンマオ)や飛機(フェイジー)らといつもつるんでいた。 小四はある日、怪我をした小明(シャオミン)という少女と保健室で知り合う。彼女は小公園のボス、ハニーの女で、ハニーは対立するグループ〝217″のボスと、小明を奪いあい、相手を殺して姿を消していた。ハニーの不在で統制力を失った小公園は、今では中山堂を管理する父親の権力を笠に着た滑頭(ホアトウ)が幅を利かせている。 小明への淡い恋心を抱く小四だったが、ハニーが突然戻ってきたことをきっかけにグループ同士の対立は激しさを増し、小四たちを巻き込んでいく。。。

出典:Amazon

監督:エドワード・ヤン
出演:チャン・チェン、リサ・ヤン、ワン・チーザン、クー・ユールン、エレイン・ジン

・第4回東京国際映画祭(1991年)審査員特別賞

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は、実際に起きた殺人事件をもとにした作品で、エドワード・ヤンは事件の真相を追求するのではなく、事件に関わった少年たちの生活や心境を描こうとしました。エドワード・ヤンは少年たちに対してあまり指示を出さず、自然な演技を引き出そうとしました。そのため、少年たちは台本を読まずに即興で演じることもありました。また、この作品で主演した張震は、後にエドワード・ヤンの常連俳優となりました。

 

『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994)

A Confucian Confusion

~あらすじ~
裕福なエリート階級に属しながら心に空虚感を抱く若者たちが、人生の転機を迎える3日間を描く青春群像劇。

監督:エドワード・ヤン
出演:チェン・シャンチー、ニー・シューチュン、ワン・ウェイミン、リチー・リー、ダニー・デン

『エドワード・ヤンの恋愛時代』は、エドワード・ヤン自身の恋愛経験をもとにした作品です。彼はこの映画で自分の若かりし頃の姿や感情を投影しました。

また、この映画で共演した陳昭榮と楊貴媚は、撮影中に恋に落ちました。が、その後別れてしまいました。エドワード・ヤンは彼らの別れを惜しみ、彼らが再び共演することを望んでいましたが、叶わないまま亡くなりました。

『カップルズ』(1996)

~あらすじ~
台北の街の“アジト”に共に暮らす4人の少年たち、レッドフィッシュ、ホンコン、トゥースペイスト、ルンルン。巧妙な手口で大人も女も好きなように操り、金も自由も手に入れる事が出来ると信じている彼らは、仲間のひとりがアジトに連れてきた女の子まで共有して日々を謳歌していた。そんな彼らの中に、ある日突然フランス人の少女マルトが舞い込んで来る。彼女の出現により、これまで家族以上に深い絆で結ばれていた彼らの関係は揺らぎ始めるが……。

出典:Yahoo!映画

監督:エドワード・ヤン
出演:ヴィルジニー・ルドワイヤン、タン・ツォンシェン、チャン・チェン、ワン・チーザン、クー・ユールン

『カップルズ』は、エドワード・ヤンの最もコメディ色の強い作品に仕上がっています。
エドワード・ヤンは、この映画で台湾の現代社会や結婚制度に対する皮肉や批判を込めました。

また、この映画で主演したウー・チェンとエレイン・ジンは、実際に夫婦でありましたが。その後離婚してしまいました。エドワード・ヤンは彼らの離婚について「私が撮った映画が現実になった」と語っています。

『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)

~あらすじ~
現代の台北を舞台に、都市に生きる人々の現実や問題を、リアルに描き続けるエドワード・ヤン監督作。8歳のヤンヤンは、ごく普通の生活を送っていたが、母の弟の結婚式の日に祖母が脳卒中で倒れてから、少しずつ変化が起こり始めた。母は宗教に走り、父は昔の恋人と不倫している。そして姉は、親友の彼氏と恋仲に。ヤンヤンはそんなみんなの後ろ姿を写真に撮り始める…。

出典:Amazon

監督:エドワード・ヤン
出演:ウー・ニエンジエン、エレン・ジン、イッセー尾形、ジョナサン・チャン、ケリー・リー

・第53回カンヌ国際映画祭(2000年)監督賞
・第26回ロサンゼルス映画批評家協会賞(2000年)国語映画賞

『ヤンヤン 夏の想い出』は、エドワード・ヤンが遺した最後の作品となりました。彼はこの映画で台湾の歴史や政治の変遷を背景に、一家族の物語を描きました。

この映画では多くの有名俳優が出演していますが、李凱莉(ケリー・リー)役にイッセー尾形が出演しています。

映画『恐怖分子』関連作品

 

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『風櫃(フンクイ)の少年』(1983)

~あらすじ~
澎湖島の漁村、風櫃で暮らすアチンは、ワルの仲間たちと喧嘩に明け暮れる無為な日々を送っているが、やがて警察沙汰を起こし島にいられなくなる。故郷を離れて大都会・高雄に出たアチンと仲間たちは、そこで仕事を見つけ、アチンは一人の女性に恋をする。けれど、誰にとっても思い描いたようには人生は進まず、それぞれが大人社会の現実に直面してゆく・・・・・・。

出典:Amazon

監督:ホウ・シャオシェン
出演:ニウ・チェンザー、 チャン・シー、 チャオ・バンジュ

『青春神話』(1992)

~解説・あらすじ~
ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンらと並ぶ、台湾ニューウェーブの雄、ツァイ・ミンリャン記念すべきデビュー作。経済成長を遂げバブルに浮かれる台北の街を舞台に、そこに生きる3人の若者を中心に、彼らの背後にある漠然とした不安感、絶望感、無気力、孤独感、焦燥感、そしてその親の世代との例えようもない確執を見事に描ききった傑作。少ないセリフ、単純な構図、そして主人公達に一貫して距離を置き、醒めた視点で捉えたこの監督独特の魅力は「愛情萬歳」でもそのまま受け継がれている。

出典:Amazon

監督:ツァイ・ミンリャン
出演:リー・カンション、レン・チャンピン、チェン・チャオロン、ワン・ユーウェン、ミャオ・ティエン

『一瞬の夢』(1997)

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監督:ジャ・ジャンクー
出演:ワン・ホンワァイ, ハオ・ホンジャン, ズオ・バイタオ

・ベルリン国際映画祭 – 最優秀新人監督賞(1998年)
・ベルリン国際映画祭 – 最優秀新人監督賞(1998年)
・ベルリン国際映画祭 – 最優秀アジア映画賞(1998年)
・プサン国際映画祭 – グランプリ(1998年)
・バンクーバー国際映画祭 – ドラゴン&タイガー賞(1998年)
・ ナント三大陸映画祭 – 金の気球賞(グランプリ)(1998年)
・ サンフランシスコ国際映画祭 – SKYY賞(1999年)
・リミニ国際映画祭 – 最優秀作品賞(1999年)

 

『象は静かに座っている』(2018)

~解説・あらすじ~
鮮烈な長編デビュー作にして、本作完成後に29歳の若さで自ら命を絶ったフー・ボー監督による上映時間4時間弱に及ぶ渾身の叙事詩大作。中国の寂れた田舎町で先の見えない鬱屈した日々を送る年齢のバラバラな4人の男女が、やがて2300km離れた動物園にいるという一日中ただ座り続けている象を見るために旅立つ姿を描き出す。

出典:TSUTAYA DISCAS

監督:フー・ボー
出演:ポン・ユーチャン, チャン・ユー, ワン・ユーウェン, リー・ツォンシー

映画『恐怖分子』口コミ(見どころ・感想)

映画『恐怖分子』口コミ(見どころ・感想)

台湾の鬼才・エドワード・ヤン監督作品。なんとも不条理な迷宮世界に連れていかれますよ!

~見どころ~
台湾の鬼才・エドワード・ヤン監督作品。始まりは「シリアスなサスペンス映画かな?」と思わせて、物語が進むうちにミステリーともサスペンスともホラーともいいがたい、なんとも不条理な迷宮世界に連れていかれます。不穏な空気のまま登場人物たちが悲劇に向かっていく、その「逃げられなさ」がたまりません。この辺、日本の黒沢清監督の作風ともちょっと似ているかも?1986年の台北の街並みがとにかく魅力的に撮られています。アジアなのに、暑苦しくなく北欧のようなクールな空気感。台湾旅行をしたことがある人なら、より一層面白く見られるのでは。

英語タイトルは「Terrorizers」。「テロで他者を抑圧する者」といった意味でしょうか。

あの不気味なラストシーンの後に、タイトルが意味するものを考えるとじんわりと恐怖がこみ上げてきます。

~感想~
私が初めてエドワード・ヤン監督作を見たのは、1991年の東京国際映画祭でした。

「牯嶺街少年殺人事件」。

上映終了後、渋谷オーチャードホールの客席が「何だこれは…」といったリアクションでざわめいていたのを覚えています。

今作「恐怖分子」はそれをさかのぼること5年前、1986年制作の作品ですが、全編にミステリアスな輝きが散りばめられた傑作です。

大都会なのに荒涼とした台北の風景、謎めいた登場人物たち、無関係なようでいて微妙に連鎖しあう不条理な事件…。

シャープな映像で切り取られた世界は、冷たく尖るナイフのように観客の心に鈍い痛みを残すでしょう。

早世したエドワード・ヤン監督の圧倒的な才能を忘れないためにも、何度でも繰り返し見たい1本です。

映画『恐怖分子』評価は?

評価サイトみんなのシネマ(10点満点)IMDb
(10点満点)
Filmarks
(5点満点)
Yahoo!映画
(5点満点)
点数7.457.84.03.4
評価サイトの特徴・映画情報/上映中の映画に!
・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い
・海外オンラインデータベース
・Amazon運営
・急成長中! SNSシェア強し
・過去作品、評価も厳しめ!?
・最初に見る。評価甘めかな!?
・Yahoo!運営

本作品の評価情報は2023年8月11日時点のものです。

映画『恐怖分子』まとめ

映画『恐怖分子』エンタメのまとめ

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