・『アデル、ブルーは熱い色』(2013)は「LGBTQ+」を扱った映画。Lは女性同性愛あらわす。
ちなみにQは自分の性が分からないという「クエスチョニング」と性的少数者を表す「クィア」。
・『アデル、ブルーは熱い色』は、カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールを受賞した。
・これまでの作品はマイルドな同性愛描写に留めることが多かった。が、本作は約7分間に及ぶ、アデル・エグザルコプロスとレア・セドゥによる赤裸々な映像スタイルが、話題になった。
・日本においては、2015年に渋谷区で「パートナーシップ制度」が導入された。
・関連作:『ショー・ミー・ラヴ』(1998) 『中国の植物学者の娘たち』(2005)『水の中のつぼみ』(2007) 『恋物語』(2015) 『キャロル』(2015)
映画『アデル、ブルーは熱い色』あらすじ・動画
映画『アデル、ブルーは熱い色』あらすじ
~あらすじ~
教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。
数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。
しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき……。出典:Amazon
映画『アデル、ブルーは熱い色』予告動画
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映画『アデル、ブルーは熱い色』監督・キャスト、原作紹介
映画『アデル、ブルーは熱い色』基本情報
本作(タイトル) | アデル、ブルーは熱い色/Blue Is the Warmest Color |
公開年 | 2013年 |
上映時間/再生時間 | 2時間59分 |
監督 | アブデラティフ・ケシシュ |
キャスト | アデル・・・アデル・エグザルホプロス エマ・・・レア・セドゥ サミール・・・サリム・ケシゥシュ リーズ・・・モナ・ヴァルラヴェン トマ・・・ジェレミー・ラウールト ベアトリス・・・アルマ・ホドロフスキー ヴァランタン・・・サンドール・ファンテック アデルの母・・・カトリーヌ・サレ アデルの父・・・オーレリアン・ルコワン |
音楽/主題歌 | ― |
主な受賞歴 | ・第66回カンヌ国際映画祭(2013年)パルム・ドール ・第39回ロサンゼルス映画批評家協会賞(2013年)外国語映画賞 ・第29回インディペンデント・スピリット賞(2014年)外国映画賞 ・第9回オースティン映画批評家協会賞(2013年)外国語映画賞 |
制作会社/配給元 | アブデラティフ・ケシシュ/コムストック・グループ |
映画『アデル、ブルーは熱い色』原作紹介
原作:『ブルーは熱い色(フランス語版)』 ジュリー・マロ著
『ブルーは熱い色 Le bleu est une couleur chaude』日本語版(発行 DU BOOKS)
脚本:アブデラティフ・ケシシュ
映画『アデル、ブルーは熱い色』関連作品
映画『アデル、ブルーは熱い色』を紹介しています。ここでは「LGBTQ」を扱った映画で「L」の、恋愛作品を紹介します。
関連作として、『ショー・ミー・ラヴ』(1998)、『中国の植物学者の娘たち』(2005)、『水の中のつぼみ』(2007)、『恋物語』(2015)、『キャロル』(2015)を取り上げます。
これらはすべて女性同士の愛を描いた作品ではあり、異性愛という一般的な恋愛表現から外れ、同性愛にフォーカスしたものとなっています。時代ごと、その時代において大きな注目を集め、賛否両論を巻き起こしました。
ただ、それだけではなく、社会や家族との関係や自己表現との葛藤など、さまざまなテーマをも含んでいます。それぞれの作品がどのように女性同士の愛を表現し、どんな反響を呼んだかを見ていこうと思います。
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『ショー・ミー・ラヴ』(1998)
~あらすじ~
スウェーデンの片田舎に住む、思春期を迎えた少女たちの不安や苛立ちを瑞々しく描いた青春映画。スウェーデンの小さな町オーモル。おしゃれで可愛い14歳のエリンの学校での会話といえば、パーティーやファッションのことばかり。なんの知性も感じられない連中にも、彼らと何ら変わらない自分にもうんざり。一方、しつけの厳しい家庭に育ったアグネスは周囲に馴染めず友だちがいない。ある日、退屈だったエリンはアグネスの誕生会に行き、それをきっかけに二人は親しくなる。出典:TSUTAYA DISCAS
監督:ルーカス・ムーディソン
出演:アレクサンドラ・ダールストレム、レベッカ・リルジェベリ
『ショー・ミー・ラヴ』はスウェーデンで製作された青春映画です。高校生のエリンとアグネスは同じ学校に通いますが、全く違う性格と立場にあります。エリンは人気者で男子からも好かれるが、内心では自分に興味がないことに不満を感じています。一方、アグネスは引っ込み思案で友達も少なく、エリンに恋心を抱いているが言い出せないでいました。ある日、エリンは友達からアグネスに冗談で電話をかけるように仕向けられるが、その電話がきっかけで二人は接近します。しかし、周囲からの圧力や偏見に直面し、二人の関係は試練にさらされるのです。
この映画は当時としては珍しい女性同士の恋愛を扱った作品であり、スウェーデンでは大ヒットした。また、国際的にも高く評価され、カンヌ国際映画祭で青少年映画賞を受賞しました。この映画は、女性同士の愛だけでなく、青春期の悩みや孤独感、自分らしさを求める姿などをリアルに描いており、多くの観客の共感を呼びました。また、エリンとアグネスを演じたアレクサンドラ・ダールストレムとレベッカ・リルジェベリは、この映画でデビューし、その後も女優として活躍しています。
『中国の植物学者の娘たち』(2005)
~あらすじ~
幼くして両親を亡くし孤児院で育てられたリー・ミンは、昆林医科大学の植物学者、チェン教授の実習生となる機会を得、湖の小島にある彼の植物園へとやって来る。しかし、チェン教授は極端なまでに厳格な人物で、実習生のミンにも何かと辛く当たる。そんなチェン教授には、ミンと同じ年頃の娘アンがいた。アンもまた少女期に母を亡くし、厳しい父の下で孤独な暮らしを送っていた。2人はすぐに打ち解け、心を通わせていくが…。出典:TSUTAYA DISCAS
監督:ダイ・シージエ
出演:ミレーヌ・ジャンパノワ、 リー・シャオラン
・2006年 モントリオール世界映画祭観客賞(ダイ・シージエ)、最優秀芸術貢献賞(ギイ・デュフォー)
『中国の植物学者の娘たち』はフランスとカナダの合作映画である。1976年の中国を舞台に、孤児院で育ったミンと植物学者の娘アンの恋物語を描いています。ミンは植物園で実習するためにチェン教授の下にやってきますが、そこでアンと出会い、次第に惹かれあうようになります。しかし、二人の愛は社会や家族から許されないものであり、悲劇的な結末を迎えます。
この映画は中国ではタブーとされる同性愛を扱っており、中国での撮影許可がおりず、ベトナムで撮影されました。また、中国では上映されませんでしたが、海外では高い評価を受けました。特にフランスでは観客賞や最優秀芸術貢献賞などを受賞しました。『中国の植物学者の娘たち』は、美しい自然や音楽とともに、二人の純真な愛や切なさを表現しており、私たち観客の感情を揺さぶりましたし、ミンとアンを演じたミレーヌ・ジャンパノワとリー・シャオランは、その魅力的な演技で注目されました。
『水の中のつぼみ』(2007)
~あらすじ~
少女に恋した少女の淡い性の芽吹きを瑞々しく描いたガールズムービー。シンクロナイズドスイミングに打ち込む上級生のフロリアーヌに心を奪われたマリー。彼女に近付きたい一心でクラブに入部したが、やがてある噂を耳にするようになり…。出典:Amazon
監督・ 脚本:セリーヌ・シアマ
出演:ポーリーヌ・アキュアール 、アデル・エネル
『水の中のつぼみ』はフランスで製作された青春ドラマで、パリ郊外に住む15歳の少女マリーがシンクロナイズドスイミングを通して上級生のフロリアーヌに惹かれていく様子を描いています。この映画はセリーヌ・シアマ監督のデビュー作であり、自身の体験を基にしたものだそうです。シアマ監督は当時15歳だったこともあり、少女たちの感情や欲望を生々しく表現しました。特に水中で繰り広げられるシンクロナイズドスイミングのシーンは美しくもエロティックであり、私たち観客を魅了します。
また、この映画ではフロリアーヌ役にアデル・ヘネルを起用しました。エネルはこの映画で初めて女優としてデビューしましたが、その後もシアマ監督とタッグを組んで『燃ゆる女の肖像』(2019)などで主演を務めました。『水の中のつぼみ』ではヘネルが演じるフロリアーヌが男遊びが激しいと噂される一方で処女であるという秘密を明かす場面がありますが、これは実際にシアマ監督が高校時代に体験したことだそうです。このように『水の中のつぼみ』はシアマ監督とヘネルの出会いでもあり、彼女たちの才能が開花した作品でもあります。
『恋物語』(2015)
『恋物語』(Our Love Story)
『恋物語』は韓国で製作されたラブストーリーで、大学教授であるジュニョンが夫と別居中に元教え子であるヘジュと恋に落ちていく様子を描いています。この映画はイ・ヒョンジュ監督のデビュー作であり、韓国では女性同士の恋愛を描いた映画は珍しいということもあり、話題を呼びました。イ・ヒョンジュ監督はこの映画を作るにあたって、自身が女性同士の恋愛を経験したことはないが、人間としての感情や欲望は共通するものだと考えたそうです。そのため、この映画では女性同士の恋愛に特別な意味やメッセージを込めることはせず、普遍的な恋愛の物語として描きました。
また、この映画ではジュニョン役にイ・サンヒ、ヘジュ役にリュ・ソニョンを起用しました。イ・サンヒは韓国では知名度が高くなかったのですが、この映画で演技力を認められました。リュ・ソニョンは韓国では人気のある女優でしたが、この映画で初めて女性同士の恋愛を演じました。2人の女優は撮影中に仲良くなり、キスシーンなども自然に演じることができたといいます。このように『恋物語』はイ・ヒョンジュ監督とイ・サンヒ、リュ・ソニョンの出会いでもあり、彼女たちの才能が輝いた作品でもあるのです。
第17回東京フィルメックスで上映された際、今回紹介している『アデル、ブルーは熱い色』(2013)や次作で挙げる『キャロル』(2015)に及ぶとも、良作と評価されています。
『恋物語』は、監督が映画界を追放された経緯もあって、DVD化は確認できていません。
ただ、有料のLGBT映画配信サービス「GagaOOLala」で配信されています(日本語字幕未対応。2020年12月29日確認済)。
『キャロル』(2015)
~あらすじ~
1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。出典:Yahoo!映画
監督:トッド・ヘインズ
出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ
『キャロル』はアメリカで製作されたドラマで、1950年代のニューヨークで出会った若い店員テレーズと既婚の上流階級の女性キャロルが恋に落ちていく様子を描いています。この映画はパトリシア・ハイスミスの小説『塩とその代償』(1952)を原作としており、トッド・ヘインズ監督がメガホンを取りました。トッド・ヘインズ監督は以前からLGBTQ関連の作品を手掛けており、『キャロル』でも当時の社会的な偏見や圧力に直面しながらも愛を貫こうとする女性たちの姿を丁寧に描きました。
また、この映画ではキャロル役にケイト・ブランシェット、テレーズ役にルーニー・マーラを起用しました。ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラはこの映画でアカデミー賞候補となりましたが、受賞は逃しました。しかし、2人はカンヌ国際映画祭で共同で最優秀女優賞を受賞しました。
映画『アデル、ブルーは熱い色』口コミ(見どころ・感想)
映画『アデル、ブルーは熱い色』口コミ(見どころ・感想)
「衝撃の愛の7分間」
人が恋に落ちる瞬間というものを、とても美しく、そしてドラマティックに描いている作品です。
~感想~
近年では、LGBT系の映画が多くなってきましたが、ここまで激しく女性同士の恋愛を描いた作品に、私はまだ出会ったことがありません。
真剣に愛し合った二人の未来は幸せであって欲しい。
この二人は同性同士だけれども、この恋愛には共感出来る人も多いんじゃないかと思います。
運命の出会いは皆に訪れる訳ではないので、二人は幸せだったと思いたいです。
~感想~
主役の女優二人の演技が自然でリアル、見ていて目が離せませんでした。本当の恋愛って何だろう?幸せな恋愛って何だろうと考えてしまいました。
そして、この恋愛は若い二人にとっては、どんなに強く思い合っていたとしても通過儀式のようなものなのかもしれないと感じたりもしました。
映画『アデル、ブルーは熱い色』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 6.94 | 7.7 | 3.8 | 3.69 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2023年10月22日時点のものです。
映画『アデル、ブルーは熱い色』まとめ
映画『アデル、ブルーは熱い色』エンタメのまとめ
前職といっても、もう十数年前の時代になりますが、「LGBT」という言葉すら会社の中のコンテンツで学ぶこともありませんでした。
そして、転職した会社が海外進出も視野に展開するに連れて多様な人がいることにも触れはじめて、はじめて「LGBT」ということを知りました。ネット閲覧、ブログ発信だけでなく気軽にSNSにも参加できる時代になってしまいました。国会などにおいてもますますセクシュアリティについての議論が深まり、法的にどうする!?といったものが取り上げられるようにられましたね。
『アデル、ブルーは熱い色』を見て、多くの人々が衝撃的なものとなり、同性愛やLGBTQ+に対する理解を深めるきっかけとなるのではないかと思います。同性愛者が、自分らしく生きることができる社会を目指す上で、これらの作品は大きな役割を果たしたと言えるからです。
同性愛者だけでなく、異性愛者の人々も、これらの作品を通じて、人間の愛や性について深く考えることができるはずです。ほかに紹介した作品たちが描く愛や人間関係は、性別や性的指向を超えたものであり、誰にでも共感を呼び起こすものだと、感じました。
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