・『ゼイリブ』(1988)の原案は、アメリカの作家レイ・ネルソンの 「朝の八時」及び「Alien Encounters(エイリアンエンカウンターズ)」というコミックから生まれ、1980年代の風刺をSFとホラーの形で映画化した。
・『ゼイリブ』では、1980年代の物質主義的思考に対する批判、特権階級らがメディアを悪用使い倒し、洗脳し、社会を専制支配している様を批判、警告している内容となっている。
関連作:『ニューヨーク1997』(1981)『トータル・リコール』(1990)『マウス・オブ・マッドネス』(1994)『ファイト・クラブ』(1999)
映画『ゼイリブ』あらすじ・動画
映画『ゼイリブ』あらすじ
~あらすじ~
あなたはもう、誰も信じられない―。エイリアンによる地球侵略は誰にも知られず進行していた!
エイリアンたちの正体を判別できる特殊なサングラスを偶然手に入れた主人公ネイダは、レジスタンス運動に参加する事になるのだった出典:Amazon
映画『ゼイリブ』予告動画
『ゼイリブ<製作30周年記念HDリマスター版>』予告
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映画『ゼイリブ』監督・キャスト、原作紹介
映画『ゼイリブ』基本情報
本作(タイトル) | ゼイリブ/They Live(John Carpenter’s They Live) |
公開年 | 1988年 |
上映時間/再生時間 | 1時間36分 |
監督 | ジョン・カーペンター |
キャスト | ナダ・・・ロディ・パイパー フランク・・・キース・デイヴィッド ホリー・・・メグ・フォスター 浮浪者・・・ジョージ・バック・フラワー ギルバート・・・ピーター・ジェイソン 宣教師・・・レイモン・サン・ジャック 髭の男・・・ジョン・ローレンス 親方・・・ノーマン・オールデン 父親・・・ジェイソン・ロバーズ・Jr テレビの女優・・・スーザン・ブランチャード 身なりのいい客・・・ジョン・F・ゴフ ブロンドの警官・・・ノーマン・ハウエル 黒人革命家・・・サイ・リチャードソン |
音楽 | ジョン・カーペンター、アラン・ハワース |
主な受賞歴 | ― |
制作会社/配給元 | ラリー・J・フランコ/ユニバーサル・ピクチャーズ、 東宝東和 |
映画『ゼイリブ』原作紹介
原作:レイ・ネルソン
脚本:フランク・アーミテイジ
映画『ゼイリブ』関連作品
関連作として、『ニューヨーク1997』(1981)『トータル・リコール』(1990)『マウス・オブ・マッドネス』(1994)『ファイト・クラブ』(1999)を取り上げます。
これらはSFやアクションというジャンルに属していますが、それだけではありません。実は、社会や人間の本質に対する批判的な視点を持っており、私たちに考えさせるメッセージが込められているのです。では、それぞれの作品の特徴や背景を紹介しましょう。
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『ニューヨーク1997』(1981)
~あらすじ~
1997年、ニューヨークのマンハッタン島は巨大な監獄に改造され、300万人の囚人が放たれていた。
テロリストにハイジャックされた大統領専用機がそこに墜落。
大統領は脱出用ポッドで脱出するが、デュークを首領とするストリートギャングに捕らえられる。
大統領を人質にしたギャングたちは、囚人全員の釈放を要求。
政府は、武装強盗の罪でニューヨークに収監予定だった特殊部隊出身のスネークに大統領救出を命令する。
24時間後に爆発する爆弾を頸動脈に注入されたスネークは、嫌々ながらグライダーで世界貿易センタービルに降り立った…。出典:Amazon
監督:ジョン・カーペンター
出演:カート・ラッセル、リー・ヴァン・クリーフ、アイザック・ヘイズ
『ニューヨーク1997』は、犯罪が激増した近未来のアメリカを舞台にした作品です。
ニューヨークのマンハッタン島は巨大な刑務所となり、そこには300万人もの囚人たちが暮らしています。ある日、大統領専用機がテロリストに乗っ取られて島内に墜落し、大統領は囚人たちに拉致されてしまいます。政府は元特殊部隊員で武装強盗の罪で収監予定だったスネーク・プリスキンに大統領救出を命じますが、彼の体内には24時間後に爆発するマイクロチップを埋め込んでいます。スネークは単身ニューヨークへと降り立ち、囚人たちと戦いながら大統領の行方を追います。
この作品は、当時のエネルギー危機や冷戦の影響を反映しており、アメリカ社会の暗部や腐敗を暴露しています。スネークは英雄でありながら反社会的な存在であり、大統領は無能で傲慢な人物です。囚人たちは自由を求めて暴力に訴えますが、それは本当の自由なのでしょうか。作品の最後には、スネークが大統領に対して反逆的な行動をとりますが、それは正義なのでしょうか。この作品は、観客に自分の価値観や社会のあり方を問いかける作品です。
『トータル・リコール』(1990)
監督:ポール・ヴァ―ホーヴェン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、 レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド、 ロニー・コックス
『トータル・リコール』は、フィリップ・K・ディックの小説「追憶売ります」を原作とした作品です。主人公のダグラス・クエイドは、夢に出てくる火星への憧れを抱いています。彼は記憶を操作する会社「リコール」に行き、火星での冒険を体験することにします。しかし、その途中で彼は突然暗殺者に襲われ、自分が本当は火星で反政府組織のリーダーだったことを思い出します。彼は火星へと逃げますが、そこでは独裁者のコーヘイゲンが住民を支配しており、彼は反乱軍と共闘することになります。
この作品は、記憶やアイデンティティというテーマを扱っており、観客に現実と虚構の区別がつかなくなるような展開を見せます。クエイドは自分が本当に誰なのか、何が本当なのかを探求しますが、その答えは明確ではありません。また、この作品は火星の風景や異形の生物などを鮮やかに描いており、視覚的にも楽しめる作品です。特に、火星の大気を生み出す古代の装置や、クエイドとメロニー・グリフィス演じるレイチェルが変装するシーンなどは見どころです。
『マウス・オブ・マッドネス』(1994)
~あらすじ~
猜疑心の強い保険調査員のジョン・トレント(サム・ニール)は、出版社のジャクソン・ハーグロウ(チャールトン・ヘストン)に、失踪したベストセラー作家サター・ケイン(ユルゲン・プロノフ)の行方を捜して『マウス・オブ・マッドネス』の原稿受け取るよう依頼される。
そしてケイン担当の編集者のリンダ・スタイルズ(ジュリー・カーメン)とともに捜索するうちに、ケインの小説に出てくる架空の町ホブス・エンドにたどり着く。
そこで二人は現実を自由に変え、人類を滅ぼそうとするケインの野望を知るのだった…。出典:Amazon
監督:ジョン・カーペンター
出演:サム・ニール、ジュリー・カーメン、ユルゲン・プロホノフ、チャールトン・ヘストン
『マウス・オブ・マッドネス』は、失踪したベストセラー作家サター・ケインを探す保険調査員トレントが、彼の小説に登場するホブの街に辿り着き、恐ろしい真実に直面するというストーリーです。この作品は、アメリカの幻想小説家H.P.ラヴクラフトの創造した暗黒神話体系“クトゥルフ神話”にオマージュを捧げたもので、作中には隠喩や用語が散りばめられています 。例えば、サター・ケインという名前はラヴクラフトの小説『狂気山脈』(原題:At the Mountains of Madness)から取られており 、ホテルの名前「ピックマン・ホテル」や出版社「アルケイン出版」も同じくラヴクラフトの作品に登場するものです 。また、原題の「In the Mouth of Madness」は「In the Mouth」を続けて発音すると「インスマス」となり、ラヴクラフトの小説『インスマスの影』(原題:The Shadow over Innsmouth)を連想させます 。
『ファイト・クラブ』(1999)
~あらすじ~
不眠症に悩む若きエリートのジャック。彼の空虚な生活は、謎の男タイラーと出会ってから一変する。自宅が火事になり、焼け出されたジャックはタイラーの家へ居候することに。「お互いに殴り合う」というファイトにはまっていく二人のもとに、ファイト目当ての男たちが集いあうようになる。そして秘密組織“ファイト・クラブ”がつくられた!出典:TSUTAYA DISCAS
監督:デイビッド・フィンチャー
出演:エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム・カーター
『ファイト・クラブ』は、不眠症に悩む平凡な会社員“僕”が、自由奔放なタイラー・ダーデンと出会い、男同士が素手で殴り合うファイト・クラブを始めるものの、やがてその行動がテロリズムへと発展していくというストーリーです。『ファイト・クラブ』は、アメリカの小説家チャック・パラニュークの同名小説が原作であり、彼自身もカルト的な人気を持つ作家です。この小説に目をつけたのが映画会社20世紀フォックスでしたが、監督に選ばれたデヴィッド・フィンチャーは彼らと過去に確執があったため、あえて高額な予算を要求しました。そしてなんと6,300万ドル(約70億円)という途方もない予算を引き出すことに成功したのです。これは資本主義や消費主義を批判する映画の製作費としては皮肉な話ですね。
エドワード・ノートンは会社員“僕”、主役の一人で、彼の演技は高く評価されましたし、自由奔放なタイラー・ダーデン役のブラッド・ピットは独特のカリスマで役にぴったりとはまり、人の化学反応は、映画の魅力の一因となりました。エドワード・ノートンとブラッド・ピットが実際に殴り合ったシーンでの制作秘話ですが、監督のフィンチャーは彼らに「本当に殴ってみろ」と指示しましたが、それぞれどこを殴るかは教えませんでした。そのため、『ファイト・クラブ』で見られる“僕”がタイラーの耳を殴るシーンやタイラーが“僕”の胃を殴るシーンは本物のリアクションです!
映画『ゼイリブ』口コミ(見どころ・感想)
映画『ゼイリブ』口コミ(見どころ・感想)
この映画は近未来SFながらも、宇宙人に支配された世界というのは、現代社会の縮図ではないかと感じさせるところが魅力です。
~見どころ~
鬼才ジョン・カーペンター監督のカルト的作品です。資本家と労働者とが対立関係にある近未来のアメリカが舞台です。
主人公はふとしたことから、その対立関係の裏には宇宙人による支配があったという事実を知ります。
その支配に抗う主人公たちは、人間の意識をコントールする電波を止めるためテレビ局のアンテナを破壊し、人々に宇宙人に支配された社会の真の姿を見せつけます。
この映画は近未来SFながらも、宇宙人に支配された世界というのは、現代社会の縮図ではないかと感じさせるところが魅力です。
電通によるマーケティングがネガティブ捉えられ炎上したのも記憶に新しいですが、要は資本家層は自分たちに都合のいいような情報を発信し、労働者層、貧困層をコントロールしているのではという疑念が拭えません。そこがこの作品を奥深いものとしています。
~感想~
ジョン・カーペンター監督にしては非常に分かりやすい作品です。
サングラスを通すと本当の姿が見えるという、ともすれば子供だまし的で単純な設定も、うまく演出されることで不自然さを感じさせません。
人間に擬態した宇宙人の本当の姿の造形も、シンプルながら不気味で印象に残ります。
そういうホラー的なとっつきやすさもありながら、その裏には分断された社会に対するアイロニックなメッセージも含まれています。
そしてその片棒を担ぐメディアに対する批判も感じさせられます。
社会に対する批判とエンターテイメントが非常に良いバランスで結合した、誰が観ても楽しめる作品です。
この後はどうなるんだろう?というところで終わらせるラストシーンも見事でした。
映画『ゼイリブ』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 6.66 | 7.2 | 3.7 | 3.5 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2023年10月16日時点のものです。
映画『ゼイリブ』まとめ
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