・『風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)』(1993)はイム・グォンテク監督の、韓国の伝統芸能・パンソリに携わる家族の物語映画。
・西便制(ソピョンジェ)とは、伝統芸能パンソリの歌唱法による流派の一つ。
・公開後、韓国では「西便制シンドローム」と呼ばれる社会現象が起きた。
・関連作: 『津軽じょんがら節』(1973) 『黄色い大地』(1984) 『人生は琴の弦のように』(1991) 『ラッチョ・ドローム』(1993) 『ベンゴ』(2000)
映画『風の丘を越えて/西便制』あらすじ・動画
映画『風の丘を越えて/西便制』あらすじ
〜解説~
口承芸能パンソリの唄い手である養父に徹底した指導を受けながら旅芸人の生活を続けるソンファとトンホの義姉弟。厳しい流浪暮らしに耐え切れなくなったトンホは逃げ出すが、やがて成長し、父姉の消息を追い求める……。40~60年代の韓国、全羅道を舞台に繰り広げられる骨太のメロドラマ。監督は「キルソドム」のイム・グォンテク。出典:Yahoo!映画
映画『風の丘を越えて/西便制』予告動画
『風の丘を越えて/西便制(1993韓国)』より「義父と盲目になった義姉の旅」
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映画『風の丘を越えて/西便制』監督・キャスト、原作紹介
映画『風の丘を越えて/西便制』基本情報
本作(タイトル) | 風の丘を越えて 西便制/(서편제)Sopyonje(Seopyeonje) |
公開年 | 1993年 |
上映時間/再生時間 | 1時間53分 |
監督 | イム・グォンテク(林權澤) |
キャスト | ユボン・・・キム・ミョンゴン(金明坤) ソンファ・・・オ・ジョンヘ(呉貞孩) ドンホ・・・キム・ギュチョル(金圭哲) ナクサン:文字絵師アン・ビョンギョン(安柄京) ドサン・・・チェ・ドンジュン(崔東俊) |
音楽 | 金秀哲 |
主な受賞歴 | ・第1回上海国際映画祭 (1993年)最優秀監督賞、最優秀主演女優賞 ・青龍賞(1993年) 最優秀作品賞/男優主演賞(キム・ミョンゴン)/男優助演賞(アン・ビョンギョン)/女子新人賞(オ・ジョンヘ)/撮影賞(チョン・イルソン)/最多観客賞 ・第31回大鐘賞 (1993年 )最優秀作品賞、監督賞(イム・グォンテク)/撮影賞(チョン・イルソン)/録音賞(キム・ボムス、カン・デソン)/男子新人賞(キム・ギュチョル)/女子新人賞(オ・ジョンヘ) |
制作会社/配給元 | 李泰元/韓国文化院、シネカノン |
映画『風の丘を越えて/西便制』原作紹介
原作:李清俊(イ・チョンジュン)
映画『風の丘を越えて/西便制』関連作品
関連作として、『津軽じょんがら節』(1973)『黄色い大地』(1984)『人生は琴の弦のように』(1991)『ラッチョ・ドローム』(1993)『ベンゴ』(2000)を取り上げます。
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『津軽じょんがら節』(1973)
~あらすじ~
津軽のさびれた漁村の停留所に降り立つ一組の男女。東京でバー勤めをしていたイサ子がイザコザを起こして追われている徹男を伴って、生まれ故郷のこの村に帰ってきたのだ。何もない田舎町で退屈する徹男は、盲目の少女ユキと知り合う。最初はからかうつもりだったが、徹男を慕ってくるユキに、次第に徹男も愛しさを感じるようになる。だが、平穏な日々は長くは続かなかった・・・。出典:Amazon
監督:斉藤耕一
出演:江波杏子、織田あきら、中川三穂子、寺田農、戸田春子
『津軽じょんがら節』は1973年に公開された日本映画で、斎藤耕一監督の代表作です。津軽三味線のブームを背景にしており、挿入歌や劇中で流れる三味線の音色が印象的です。撮影地は青森県の十三湖や磯松などで、荒涼とした津軽の海岸線が美しく映し出されています。
『黄色い大地』(1984)
~あらすじ・解説~
地方に伝わる民謡の収集に陝西省を訪れた八路軍の兵士。世話になる農家には唄のうまい少女がいた。いつしか彼女は兵士に幼い恋心を抱くのだが……。’30年代の山村を舞台に、まだ見ぬ世界とその世界の存在を知らせてくれた男に対する少女の憧憬を、中国映画のヌーヴェルヴァーグ陳凱歌が詩情豊かに描く。出典:TSUTAYA DISCAS
監督:チェン・カイコー
出演:シュエ・バイ、ワン・シュエチー
『黄色い大地』は1984年に公開された中国映画で、チェン・カイコー監督のデビュー作です。日中戦争下の陝西省を舞台に、八路軍の兵士と貧農の娘の淡い恋と農民たちの苛酷な生活を描いています。音楽はチャオ・チーピンが担当し、地方に伝わる民謡が劇中で歌われています。特に娘の歌う「黄土高坡」は中国では有名な曲になりました。撮影地は陝西省や甘粛省などで、黄色い大地や青い空が広がる風景が印象的です。この作品は中国映画に海外の注目を集めるきっかけとなり、多くの国際映画祭で受賞しました。
『人生は琴の弦のように』(1991)
~あらすじ~
中国に古来からある三弦琴の旅芸人で盲人の“神さま”と呼ばれる老師は、琴の弦を千本弾き切れば目が見えるようになる、という先代の教えに忠実に修行の日々を重ねていた。弟子で同じく盲人の石頭(シートウ)は旅先で寄った村の娘、蘭秀に夢中になり、老師はこれを心配した。とうとう千本まであと一本となった時、老師は“最後の弦は自分のためだけに弾く”と丘の上で奏で続け、遂に真昼の太陽の下、それは切れるのだったが・・・。出典:Yahoo!映画
監督:チェン・カイコー
出演:リウ・チョンユアン、ホアン・レイシュ、イ・チン
人生は琴の弦のように』(1991)は、音楽と人生のつながりを美しく描いた作品です。音楽の力によって、人々が心の傷を癒し、新たな人生へと踏み出す姿に感動します。
『人生は琴の弦のように』は1991年に公開された台湾映画で、チェン・カイコー監督の代表作です。台湾の歴史を背景にしており、日本統治時代から国共内戦、白色テロ、文化大革命などを経験した一家の物語を描いています。音楽はチャオ・チーピンが担当し、日本や中国の古典音楽やポピュラー音楽が劇中で使われています。特に琴(グージン)や二胡(ニーフー)などの伝統的な楽器が重要な役割を果たしており、登場人物たちの心情や時代の変化を表現しています。撮影は李屏賓が担当し、台湾や北京などで撮影されました。この作品は第44回カンヌ国際映画祭(1991年)コンペティション部門で出品されました。
『ラッチョ・ドローム』(1993)
~解説・あらすじ~
「ガッジョ・ディーロ」「ベンゴ」など、自身のルーツでもあるジプシーを一貫してテーマに取り上げているトニー・ガトリフ監督が、ジプシーの永きにわたる流浪の歴史を音楽を通して壮大に綴った映像叙事詩。約1000年前、インドからアラブを経てヨーロッパへと長い放浪の旅に出たジプシーたち。そんな彼らの足跡を辿る中でジプシーの真の姿に迫る異色作。出典:Yahoo!映画
監督・脚本:トニー・ガトリフ
出演:トニー・ガトリフ、タラフ・ドゥ・ハイ・ドゥークス、チャボロ・シュミット
『ラッチョ・ドローム』は1993年に公開されたフランス映画で、トニー・ガトリフ監督・脚本・出演の作品です。ジプシー(ロマ)の歴史や文化をテーマにしており、インドからヨーロッパへと移動するジプシーたちの旅路を描いています。音楽はトニー・ガトリフ自身が担当し、ジプシー音楽やインド音楽などが劇中で演奏されています。特にタラフ・ドゥ・ハイドゥークスというルーマニアのジプシー音楽グループが出演しており、その迫力ある演奏が見どころです。撮影はエリック・ギヨンが担当し、インドやエジプト、トルコ、ルーマニアなどで撮影されました。この作品は第46回 カンヌ国際映画祭(1993年)コンペティション部門で出品されました。
『ベンゴ』(2000)
~あらすじ~
スペイン、アンダルシア地方。年頃の一人娘ペパを亡くした悲しみを紛らわすために盛大なフラメンコパーティを開いたカコ。すぐそばには、彼を慕いフラメンコを心から愛する甥ディエゴがいた。が、ディエゴの命は復讐に燃えるカラバカ家によって狙われていた。カコの兄がカラバカ家の長男を殺し行方不明になっているためだった……。出典:TSUTAYA DISCAS
監督:トニー・ガトリフ
出演:アントニオ・カナーレス、トマティート
『ベンゴ』(2000)は、トニー・ガトリフが監督・脚本を務めたフィクション映画です。スペインのアンダルシアで暮らすロマの一族の物語で、主人公はフラメンコギタリストのカコ。彼は、殺された兄の仇を討つために復讐を誓っていますが、同時に音楽への情熱も持っています。この作品では、フラメンコやロマ音楽の名手たちが出演し、圧倒的な演奏シーンを見せてくれます。
『ラッチョ・ドローム』と『ベンゴ』に共通する点は、ロマ音楽を映画の中心に据えていることです。トニー・ガトリフは自身も音楽家であり、映画のサウンドトラックも手がけています。彼は音楽を映像よりも優先し、音楽を通してロマの人々の魂や生き方を表現しようとしています。また、両作品ともにロマの人々が抱える問題や苦悩に目を向けており、彼らへの理解や共感を促しています。
制作秘話としては、『ラッチョ・ドローム』では実際にロマの人々に出会いながら撮影したことが挙げられます。トニー・ガトリフは事前に台本やプランを立てずに、現地で出会った人々や音楽家たちとコミュニケーションを取りながら撮影したそうです。そのため、映画には生々しいドキュメンタリー感があります。一方、『ベンゴ』ではフィクション映画であるにもかかわらず、出演者たちに台詞を覚えさせなかったことが秘話です。トニー・ガトリフは彼らに自由に話させることで、自然な演技や雰囲気を引き出そうとしたそうです。
役者秘話としては、『ラッチョ・ドローム』ではトニー・ガトリフ自身が出演していることが挙げられます。彼はエジプトで撮影したシーンで、バイオリン奏者として登場しています。また、『ベンゴ』では主演のカコ役を演じたアントニオ・カナーレスが有名なフラメンコダンサーであることが挙げられます。彼は俳優経験がほとんどなかったにもかかわらず、トニー・ガトリフに見出されて主役に抜擢されました。彼は映画の中で見事なフラメンコダンスを披露しています。
データとしては、『ラッチョ・ドローム』はカンヌ国際映画祭のある視点部門に出品されたことや、日本では1994年に公開されたことが挙げられます。また、『ベンゴ』はカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたことや、日本では2001年に公開されたことが挙げられます。
映画『風の丘を越えて/西便制』口コミ(見どころ・感想)
映画『風の丘を越えて/西便制』口コミ(見どころ・感想)
旅芸人がどんなふうに旅をし、どのような扱いを周りから受けていたのかがよくわかります。
この映画の見所は韓国の伝統芸能・パンソリの歌を聴けるところと、旅芸人の家族の様子が再現されているところです。
旅芸人がどんなふうに旅をし、どのような扱いを周りから受けていたのかがよくわかります。また、パンソリに掛ける家族の情熱も見所のひとつです。
~感想~
パンソリは韓国の伝統芸能ですが、日本の落語や歌舞伎と同じように、近代化が進むにつれ楽しむ人が減ってしまった芸能のひとつです。
まず、こうした貴重な文化を再現しよう試みていることに、感動しました。
特に、歌だけをただ再現しているのではなく、実際にパンソリを歌うことで生活をしていた人々に焦点を当てていたので、ただ歌を聴いただけではわからない歌の情熱や悲しさが伝わってきました。
こうした傑作ができたのも、パンソリを歌える役者が揃ったこと、昔ながらの風景がまだ撮影可能だったことなど、数々の幸運があったからこそだと思えます。
また、家族の物語として楽しむこともできます。血の繋がらない家族が、歌を通しての絆を深めたり、逆に溝を深めてしまう様子は胸を打ちます。
映画『風の丘を越えて/西便制』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 7.5 | 7.6 | 3.9 | 4.1 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2023年10月18日時点のものです。
映画『風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)』まとめ
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