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アカデミー賞4部門受賞。兄弟の絆が徐々に育まれていく感動のロードムービー
自動車ディーラーのチャーリーは、幼い頃から憎んでいた父の訃報を受け葬儀に向かう。遺産目的のチャーリーだったが、遺産300万ドルは長年疎遠だった自閉症の兄・レイモンドに渡ることを知る。そこでチャーリーはレイモンドを施設から連れ出し…。

レイモンド…ダスティン・ホフマン
チャーリー…トム・クルーズ
スザンナ…バレリア・ゴリノ
監督:バリー・レヴィンソン
原作:バリー・モロー
音楽:ハンス・ジマー
脚本:バリー・モロー,ロナルド・バス
製作:マーク・ジョンソン

出典:楽天

 

映画『レインマン』自閉症・サヴァン症候群を持つ方の能力とは・・・

 

 

■自閉症・サヴァン症候群の役作り・演技について

 

 

本作で出てくる兄・レイモンド(ダスティン・ホフマン)は、自閉症・サヴァン症候群を患っており、施設に入所していました。弟・チャーリー(トム・クルーズ)は、父親との折り合いが悪く、16歳にして家出したあとは、資金繰りに窮しながらも外車並行輸入業者社長をしていました。

この対照的な兄弟の形成されてきた環境の違い、持って違う性格が、ところどころの場面で活かされてきます。

 

ダスティン・ホフマンは徹底的な役づくりから「完璧主義者」で有名です。

役作り、演技をより正確に忠実にするために、この『レインマン』のモデルとなったキム・ピークとともに時間を過ごしたり、自閉症を患う人の生活する病院に泊まり込んで、彼らの行動を観察したそうです(キム・ピークについては後述)。

ホフマンは役者であり健常者ではありますが、健常者と障害者との狭間を揺れ動く人間にいたわけで、苦労しながら演じていたはずです。

 

私でさえも見ていて半端ない、相当難しいことであることは、にわかに感じ取ることができました。そこら辺にいる"並み"の役者ができるものではないです。

なので、目の動きや話し方、体の動かし方などを見ていてもリアルです。自閉症・サヴァン症候群の特徴を理解できると思います。

 

対するトム・クルーズですが、作中当初から身勝手で、資金繰りに窮している経営者なので、兄から金をせしめよう、相続関連の金銭目的で寄ってくる、観ている自分までがイライラしてしまうように移ってしまいます。

ですが、そんな彼も、『自閉症』という存在を一から調べて、きっちり理解するようには努め、たくさん自閉症に関する資料がある海外のほうへも赴いていった、といいます。

 

■自閉症・サヴァン症候群などを持つ方の能力とは?

 

特徴・傾向:

 

サヴァン症候群を持つ方は、知覚のインプット処理過程に障害があって、意思疎通や学習能力に欠けてしまうところがあります。

自分から見て外界が「怖い」「不安」を覚えることから、儀式的行動しか取れないのです。

 

食事・排せつ・睡眠・歩き方といった、私たちが生きていくなかで取る日常生活を見ていると、「パターン化」しているのが分かります。(作中でも、目立ちます。)

「パターン化」しているので、それが破られことを極端に嫌います。更には体を触れられたりするのも嫌います。

「怖い」「不安」を感じると、私たちには一応理解できる(またはできないような)口癖が出てきます。

また視覚的に、自分の目からは「お金」や「人間」などの在りか、存在というものを見ていても、お金の観念や人への関心といったところまでには至りません。

これらはサヴァン症候群を持つ方の特徴・傾向です。

脳の欠損、障害で発症することは分かっており、先天性か後天性かは問いません。後天性というのは、例えば事故など脳を損傷した場合などです。なお、割かし女性より男性のほうが数倍、発症するとのことです。

 

優れた能力:

 

・優れた計算(カレンダーの計算)
・計数能力(ランダムな年月日の曜日を言える)
・優れた記憶力(書籍や電話帳、円周率などを暗唱できる暗記能力)
・鉄橋をわたるときや踏切の警報機の視覚認識
・精巧な模様を描く力(航空写真を見ただけで、細部に渡るまで描き起こすことができる)

 

それらの優れた能力について、正しい「答え」というものは存在しません。

なぜなら、私たち一人ひとりが得意なものを持っているのと同じで、彼らにも持つ能力が違っているからです。サヴァン症候群だからと「この能力がある」と絶対に言えないですし、「なぜそれができるのか」も全くもって説明できないからです。

 

映画『レインマン』のモデルとなったキム・ピーク

モデルとなった人物は、キム・ピーク

 

 

レイモンドのモデルとなった人物は、キム・ピーク(Kim Peek)(1951~2009)という方です。

キムは大頭症でした。脳は異常に大きく、右脳と左脳とを繋ぐ「脳梁」という部分がありませんでした。

運動機能に関しては、4歳になるまで歩くことはできませんでした。幼児期以降学んで覚えていくであろう、ボタン掛けやネクタイ結び、靴ひもの結び方については学ぶことなく、大人になったのです。

 

ただ、作中のレイモンドとは対照的なところがありました。

キムの性格は愛嬌があり、社会的な接触を楽しむことができました。
善人であったのです。会う人に愛着や理解を示すということができました。

とは言え、愛着や理解を示すものの、個人的な関心を示すことまでは無かったといいます。

 

また、記憶力も素晴らしく、(映画にもあるように)膨大な量の情報を学び、覚えることができたのです。

例えば、キムは小説『レッド・オクトーバーを追え』を1時間ほどかけて読み終えてしまいました。それから数ヶ月が経ったある日、その本に描かれていたロシアの無線通信兵の描写について尋ねると、キムは該当するセンテンス(文)を漏れなく引用したというのです。

 

 

(↑『レッド・オクトーバーを追え』は映画化されていて、ショーン・コネリーが出演しています。参考までに!)

 

また彼は生涯亡くなるまでに、9,000冊もの本を読み、記憶していたと言います。

やはり、お金の観念や人への関心が無い分、書籍を暗唱できる暗記能力があったからですね。

1つのページを右目で読みながら、左目ではもう一方のページを読むことができた位です。10秒で2ページを読んでしまうというくらいです。

 

これを「カメラ・アイズ」とも言える能力です。目~脳へ、カメラそのものです。(私ながら、受験とかで「速読術」やったことがありましたがとん挫しました。レベル違いです。)

 

キムはまた、複雑な計算も得意でした。分厚い電話帳を手にして、同じ列にある数字を足しては楽しんでいたというのです。紙やペンも電卓も使わずにです。

アメリカでの電話番号は123-456-7890のように10桁です。456の3桁、7890の4桁を次々と計算していったのでしょう。

 

今時パソコンのExcelで計算式でも入れればできることなのでしょうが、お金の観念はなくとも「会計」はできたのかな?と。

 

とは言え、本を読んだことから結果を引き出したり、数学の知識を他の分野に活かす、応用するといったことは苦手だったそうです。

 

映画『レインマン』のその後。自閉症・サヴァン症候群が注目された

 

『レインマン』の公開後、サヴァン症候群が注目され、時代の流れとともに障害に関する映画が作られてきました。

一概に障害といっても、目に見えるもの、目に見えないものがありますし、障害の程度もあるでしょう。

 

ここではサヴァン症候群も含め、特に精神面でハンディギャップを負うものの、活躍している有名人・著名人を紹介しておきます。

 

人物備考
アロンゾ・クレモンズ世界的な動物彫刻家。粘土の彫刻の中で動物を1時間以内に再現することができた。IQは40~50程度で、靴紐を結べず、一人で食事ができなかった。
ジョゼフ・サリヴァン驚異的な速算力。知的障害や社会性が欠けるコミュニケーション障害などの発達障害の症状を示した。
ジェイソン・パジェット強盗に襲われ、頭部を激しく殴打。脳しんとうから回復するも後天的障害でサヴァン症候群に。本来コンピュータでしか描けない幾何学図形(フラクタル)図形が見えるようになった。『31歳で天才になった男 サヴァンと共感覚の謎に迫る実話』服部由美訳(講談社、2014)
ダニエル・タメット暗算・暗記およ暗算・暗記および自然言語の学習に関して非常に高い能力を持っているび自然言語の学習に関して非常に高い能力を持っている。テレビドキュメンタリー「ブレインマン」は、世界40ヵ国以上で放送され、大きな反響を呼んだ。TED Talksで講演が聞ける。
テンプル・グランディン自閉症を抱えながらもコロラド州立大学の動物学などの教授・博士。TED Talksで講演が聞ける
トニー・デブロイス生まれつき目が見えず、アスペルガー症候群を抱えている。数々の楽器を使いこなして演奏できるだけでなく、 8,000以上もの曲を再生する能力を持っている

 

まとめ(現実は・・・。)

 

『レインマン』は何度か鑑賞しています。

私ながら大学ゼミやボランティア、教育実習、福祉職を通じて、何かしら知的障害や自閉症を患っている方と接する機会はありました。

 

ですが、本作のサヴァン症候群を持った方とは遭遇したことはありません。

 

現在福祉職というよりは、職業定着・支援という形で、さまざまな障害を持っている方と仕事を行っています。

端的に言えば、福祉職と職業定着・支援とでは「接し方」に違いというか、"戸惑い"はあります。今でもあります。「接し方」ですね、こちらは最後のほうで。

 

これの類する映画って少しずつですが増えてきていると、感じています。時代の流れもありますし、映画界の流れとしても良い傾向ではないかと思います。作品数こそ少なくても、作り続けて欲しいと思うのです。

 

一方で、実際に患者やその家族に対して偏見・差別を生んでいるではないかという意見を持っている人もいます。それも、分かります。ですが、偏見・差別以上に、健常者しかいない社会などあり得ないのです。訴え続けなければならないのです。

 

一概にサヴァン症候群といっても、ホフマンが演じたレイモンドは、自閉性障害、知的障害、発達障害、コミュニケーション障害などのある人のうちで、「優れた特殊な能力を持つ人」です。活躍している有名人・著名人も紹介しました。

確かに特別な能力を持った人がいるのは事実。しかし、ほとんどの人はそうで無くて、稀なケースなのです。

 

キムのような善人、天才や偉人の多くが円満な人格者とは言い難く、日常生活でさえ支障がある障害者がいるということを、決して忘れてはなりません。

 

「接し方」の心構え

 

最後に、「接し方」のことですが、職業定着・支援なので「賃金」が発生します。何とかして仕事に定着するようにも、支援しなければなりません。

正直なところ「何があるか、起こるか分からない」のです。

 

ですが、福祉職でも職業定着、職業支援職であっても、障害者と接する「心構え」だけは決めています。

 

「あせらずに、じっくりと」。

 

ただ、それだけです。

 

私でさえも初めて会った人ならば、「理解不能」「顕著なこだわり」「大変な手間がかかる」ようであれば、緊張してしまいますし、どうしても手控え気味になってしまいます。

やはり「何があるのか、起こるか」分からないのですから。

 

だから、少しずつ、少しずつ。時間はかかりますが、打ち解け合っていくようにしていくのです。
信頼を積みかさねていくのです。

これは鉄則だと言えます。

 

 

それから、一人ひとりが顔や性格、環境、育ちと何もかも違っているため、「すべてを理解しよう」と考えてはいけません。

すべてを理解することのほうが、不可能です。

 

すべてをやろうとすれば、自分自身が疲弊してしまいます。

 

手のかかる子どもを育てるように、老いて頑固になってしまった親を介護するときも、同じこと。

助けが欲しいときはヘルプを!これも自分自身が疲弊しきってしまうことを避けるためにも。

 

特に小・中・高生の子どもを持つ方へ、伝えたいこと

 

子どもであるこそ、障害者の立場になって物を考えたり、仮説で体験してみたりすること、認識していくうえでは、大事なことです。

 

「申し訳ない」「失礼なこと」などと考えることも「何の意味もなさない」「無駄なことだ」など余計なことを考えなくて良いです。(子どもなら自由だと思いますが。)

 

子どもが、どこかで「意味」を感じ取ったり、見いだしたりしたのであれば、それがその時の「答え」になるわけです。

 

なぜ、そんな事が言えるのか?

私ながら小学生の好きだったクラス担任が、年始になって特殊学級のクラスを受け持つことになったのですね。

私は「来年も担任だと思っていた」のです。

 

はじめての特殊学級の担任だったのでしょう。私は寂しかったので、よく休みの時間に遊びに行っていました。

そこからです。

やんちゃな小学生でしたが、普通学級でなく特殊学級に入った友達がいて、そのクラスで学んでいることを、知ったのを・・・。(そういう「意味」を感じとったのです)。

 

10分という少ない休み時間にゲームしたり、構内の購買のお手伝いをしてみたり・・・。

ここが私の「福祉」「障害児(者)教育」を知る原点だったと、思うわけです。

 

 

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