・『あの子を探して』(1999)は、張芸謀(チャン・イーモウ)監督による中国の映画。劇中の児童のほとんどは、素人で出演している。ヴェネツィア国際映画祭ではグランプリを受賞。
・『あの子を探して』の原作は、施祥生(シー・シアンション)の『空に太陽がある』より。
・代理の先生の役を務めた魏敏芝(ウェイ・ミンジ)は、当時14歳だった。
・『あの子を探して』(1999)は、続く『初恋のきた道』(1999)、『至福のとき』(2000)を併せて、この時期に作られた監督の作風から「幸せ三部作」と呼ばれている。
映画『あの子を探して』あらすじ・動画
映画『あの子を探して』あらすじ
~あらすじ~
舞台は中国の小学校。1ヵ月間学校を離れることになったカオ先生の代わりに、村長から代用教員に指名された少女ウェイ。可愛いけれど、やんちゃで生意気な28人の生徒たち。“生徒が一人もやめなかったら褒賞金をあげる”というカオ先生の言葉を信じて、子供たちを懸命に見張り続けるが、ある日、いつもウェイを困らせていた少年チャンが都会へ出稼ぎに出てしまった……。出典:Yahoo!映画
映画『あの子を探して』予告動画
Not One Less (Yi ge dou bu neng shao ) Trailer
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映画『あの子を探して』監督・キャスト、原作紹介
映画『あの子を探して』基本情報
本作(タイトル) | あの子を探して/Not One Less/一個都不能少 |
公開年 | 1999年 |
上映時間/再生時間 | 1時間46分 |
監督 | 張芸謀(チャン・イーモウ) |
キャスト | 代理の先生・・・魏敏芝(ウェイ・ミンジ) カオ先生・・・高恩満(カオ・エンマン) 生徒・・・張慧科(チャン・ホエクー) チャン村長・・・田正達(チャン・ジェ) |
音楽 | 三宝(サン・パオ) |
主な受賞歴 | ・第56回ヴェネチア国際映画祭(1999年)金獅子賞(最優秀作品賞) |
制作会社/配給元 | コロムビア・ピクチャーズ/ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント |
映画『あの子を探して』原作紹介
原作:『空に太陽がある』施祥生(シー・シアンション)
映画『あの子を探して』関連作品~「幸せの三部作」
今回紹介している『あの子を探して』(1999)、続く『初恋のきた道』(1999)、『至福のとき』(2000)を併せて、この時期に作られたチャン・イーモウ監督の「幸せ三部作」と呼ばれています。
チャン・イーモウ監督の「幸せ三部作」とは、中国の現代社会を舞台にした感動作品のシリーズです。今回紹介している『あの子を探して』、1999に公開された『初恋のきた道』、2000年に公開された『至福のとき』がその三作です。これらの映画のテーマや登場人物、共通する点などを紹介していきます。
まず、貧困や困難に直面しながらも生きる人々の姿を描いている、という点です。
『あの子を探して』では、教師が病気で休んだ代わりに教壇に立つことになった13歳の少女が、学校から逃げ出した一人の生徒を探す物語です。『初恋のきた道』では、文化大革命時代に下放された若者二人が農村で恋に落ちる物語です。『至福のとき』では、失業中の男性が見合い相手から押し付けられた盲目の女性を雇うことになる物語です。これらの映画では、主人公たちは貧しくて苦しい状況に置かれていますが、それでも希望や愛情を持って生きようとします。
次に、「コメディーとドラマの要素」を巧みに組み合わせている点です。
これらの映画は深刻なテーマを扱っていますが、それだけではなく、笑いや感動も満載です。
『あの子を探して』では、少女が都会で迷子になったり、テレビ局で騒動を起こしたりする場面がありますし、『初恋のきた道』では、若者二人が農村の風習に戸惑ったり、恋の駆け引きをしたりする場面があります。『至福のとき』では、男性が女性を騙すために偽の按摩室を作ったり、仲間たちと嘘を重ねたりする場面があります。これらの場面は、観客を笑わせるだけでなく、主人公たちの人間性や心情を表現する効果があります。
さらに、「美しい映像と音楽」もまた印象的です。チャン・イーモウ監督は、元々撮影監督として活躍していたこともあり、映像の美しさに定評があります。これらの映画でも、中国の風景や人々の表情を鮮やかに捉えていまが、特に『初恋のきた道』では、青い空や緑の田園、赤い服や白いシーツなど、色彩のコントラストが目を引きます。そして、中国の伝統音楽や民謡などが効果的に使われており、音楽は、映像と相まって、物語の雰囲気や感情を高める役割を果たしています。
チャン・イーモウ監督の「幸せ三部作」は、中国映画界の「第五世代」と呼ばれる監督たちが作った作品の中でも、最も国際的な評価を得たものです。『あの子を探して』はヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。『初恋のきた道』はベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞しました。『至福のとき』はベルリン国際映画祭で特別招待作品として上映されました。これらの映画は、中国社会の変化や人々の生活をリアルに描きながらも、普遍的な感動やユーモアを伝えることに成功した作品です。
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『初恋のきた道』(1999)
~あらすじ~
華北の美しい村に、ある日都会から若い教師がやってくる。そんな彼に恋心を抱いた18歳の少女。彼女は言葉に出来ない想いを料理を作ることで伝えようとする。そんな想いが彼に届くが、時代の波が押し寄せ2人は離れ離れに。少女は町へと続く一本道で、来る日も来る日も愛する彼を待ちつづけるのだが・・・。出典:TSUTAYA
出演:チャン・ツィイー 、スン・ホンレイ
・第50回ベルリン国際映画祭銀熊賞 (審査員グランプリ)受賞
『至福のとき』(2000)
出演:チャオ・ベンシャン 、ドン・ジエ
「幸せ三部作」を先述しましたが、チャン・イーモウ監督には「紅三部作」と呼ばれる作風のものがあります。
それが、『紅いコーリャン』(1987)、『紅夢』(1991)、『上海ルージュ』(1995)です。
張芸謀(チャン・イーモウ)監督関連作品~ 評価の高い作品
張芸謀(チャン・イーモウ)監督は、さまざまな賞を受賞していますが、「幸せ三部作」「紅三部作」以外でも特に評価の高い作品を紹介します。
張芸謀監督は、中国映画界の「第五世代」と称される世界的な巨匠です。彼の作品は中国の歴史や社会を背景にした人間ドラマが多く、美しい映像と感動的なストーリーが観客を魅了しています。今回紹介する4作品は、張芸謀監督とコン・リーの名コンビによって創り出され、国際的にも高い評価を受けました。
まず、『菊豆(チュイトウ)』は、1930年代の中国北西部が舞台の恋愛映画です。コン・リーは貧しい農家の娘である菊豆役を演じました。彼女は幼なじみの天浩と結婚しますが、天浩が反政府組織に参加してしまいます。その後、菊豆は天浩の兄弟分である大鵬と恋に落ち、天浩の帰還により三角関係に陥ります。この作品は張芸謀監督とコン・リーのデビュー作であり、第63回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。
次に、『紅夢 大紅燈籠高高掛』は、1920年代の中国北東部を舞台にした家族ドラマです。コン・リーは貧しい学生の未亡人である宋蓮役を演じました。彼女は裕福な大地主の四番目の妻として迎えられますが、夫の寵愛をめぐって妻たちが争う家庭に入ります。宋蓮は夫からの愛を勝ち取り、大紅燈籠が自分の部屋に掲げられますが、これが他の妻たちの嫉妬を引き起こします。この作品は第48回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞しました。
続いて、『秋菊の物語 秋菊打官司』は、1940年代の中国北西部を舞台にした社会派映画です。コン・リーは貧しい農家の妻である秋菊役を演じました。彼女は夫が地主の息子に暴力を振るわれたことを訴えますが、裁判所は彼女の訴えを無視します。秋菊は何度も裁判所に足を運び、正義を求めますが、やがて地主の息子によって襲われてしまいます。この作品は第49回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞と女優賞を受賞しました。
最後に、『活きる 活着』は、1940年代から1970年代までの中国の激動の時代を描いた人生劇です。コン・リーは貧しい農家の妻である家珍役を演じました。彼女は夫の福貴とともに戦争、飢饉、文化大革命などの困難に立ち向かいながら生き抜きます。この作品は第47回カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞しましたが、政治的理由により本国では上映が禁止されました。
これらの作品に共通する点は、張芸謀監督の独特な映像美とコン・リーの魅力的な演技です。張芸謀監督は色彩、光、音楽などを巧みに用いて情感と雰囲気を表現します。コン・リーはさまざまな役柄に挑戦し、その表情やしぐさで感情を伝えます。また、これらの作品は中国の歴史、文化、社会についての貴重な洞察を提供しています。張芸謀監督は自身の経験と観察に基づいて作品を制作し、中国の人々の生活、思考、価値観などを描写しています
『菊豆(チュイトウ)』(1990)
出演:コン・リー 、リーウェイほか
『紅夢 大紅燈籠高高掛』 (1991)
出演 : コン・リー、フー・チャイフェンほか
・第48回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞
『秋菊の物語 秋菊打官司』 (1992)
出演 : コン・リー、 リュウ・ペイチーほか
・第49回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞/女優賞
『活きる 活着』 (1994)
出演 : コン・リー 、グォ・ヨウほか
・第47回カンヌ国際映画祭審査員グランプリ
映画『あの子を探して』口コミ(見どころ・感想)
映画『あの子を探して』口コミ(見どころ・感想)
映画と言うよりは、ドキュメンタリー作品のようなリアルさがすごくあります。
~見どころ~
20年ほど前の昔の作品ですが、改めて20年と昔と言うには近い時代の中国の貧しい現実に驚かされます。
出演者は役者さんなどではなく、素人を出演させているところから、所謂、映画らしい映画と言うよりは、ドキュメンタリー作品のようなリアルさがすごくあります。
特に子供たちが素晴らしいです。
演技指導はしているはずですが、限りなくリアルな登場人物たちに、とても引き込まれます。
ふて腐れたり、怒ったり、不安になったり、泣いたり、その表情の一つ一つに、貧しくても、生きていると言う事を実感させられます。
映画の、この子供たちのような子たちは、「その後、どのような人生を送ったんだろうか」と、現在の中国がどんな国なのかは良くわかりませんが、出演者たちが幸せな今を生きていれば、と思いを馳せてしまいます。
~感想~
とても不思議な映画だと思います。
素人同然の子供たちが、お金、お金と口々に言う様子は、子供のクセに、「中国は何て国だ」と最初はちょっと観るのを躊躇してしまうかもしれません。
でも、そんな子供たちが、色んな経験をして、少しずつ変わっていきます。
好い人もいるし、悪い人もいる、親身になってくれる人、いい加減な人、そんな都会の状況は、日本とさほど変わらないとも感じます。
この子たちにとっては、今の(20年前でも)日本に暮らす日本人の私などには、思いもよらない状況が、普通の日々で、「普通って何だろう?」「幸せとは?」と何気ない日常の出来事に、一喜一憂する子供たちを見ていると考えてしまいました。
本当の幸せとは他人から見たらそうは思えない事の中にもあるのかもしれない、と気づかされました。
見どころ:レンガ運びで、実践的かつ合理的な算数の授業が活きている。
中国のとある村の小学校。
~感想~
13歳という少女が代理教師としてやってくる、というのは非常に面白いのですが、一方で中国の田舎での教育体制が整っていない現状にも鋭く切り込んだ作品だと思いました。
また、日本なら「義務教育」である小学校。それなのに出稼ぎに出なければいけないというのも悲しい現実です。
バス代を稼ぐために子どもたちが働くというのも、同様です。
この作品は日本では到底撮れない作品であり、こういった問題を抱えている中国だからこそ描ける作品だと感じました。
問題の根源が貧富の差というだけではありません。
先に述べた通り、収入や教育が地方の村では都市部と大きく違うというのは日本では考えられないことです。
その一方で作中に出てくる人物たちの笑顔にどこか励みを感じる作品でもあります。
映画『あの子を探して』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 7.01 | 7.7 | 3.7 | 3.89 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2023年10月31日時点のものです。
映画『あの子を探して』まとめ
映画『あの子を探して』エンタメのまとめ
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