・韓国映画『パラサイト 半地下の家族』(2019)を初めて観る人は、事前情報がまったく無いほうが楽しめる!
・『パラサイト 半地下の家族』は、第92回アカデミー賞で、韓国初そしてアジア初の「作品賞」を受賞した。「監督賞」「脚本賞」「国際長編映画賞」も受賞した。
・関連作:『誰も知らない』(2004) 『万引き家族』(2018) 『はちどり』(2018)『ノマドランド』(2020)
映画『パラサイト半地下の家族』あらすじ・動画
映画『パラサイト半地下の家族』あらすじ
~あらすじ~
半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のため、IT企業のCEOを務めるパク氏の豪邸を訪ね、兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れる。
引用:Yahoo!映画
映画『パラサイト半地下の家族』予告動画
『パラサイト 半地下の家族』90秒予告
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映画『パラサイト 半地下の家族』監督・キャスト紹介
映画『パラサイト 半地下の家族』監督・キャスト紹介
本作(タイトル) | パラサイト 半地下の家族/기생충/Parasite |
公開年 | 2019年 |
上映時間/再生時間 | 2時間12分 |
監督 | ポン・ジュノ |
キャスト | キム家 キム・ギテク(ソン・ガンホ)・・・半地下住宅に暮らす全員失業中の一家の主 パク家 パク・ドンイク(イ・ソンギュン)・・・高台の大豪邸に暮らすIT企業の社長。 ムングァン(イ・ジョンウン)・・・パク宅の家政婦。 |
音楽 | チェ・ウシク |
主な受賞歴 | ・第92回アカデミー賞(2020年)作品賞/脚本賞/監督賞/国際長編映画賞(外国語映画賞) ・第77回ゴールデングローブ賞(2020年)外国語映画賞 ・第44回日本アカデミー賞(2021年)最優秀外国作品賞ほか |
制作会社/配給元 | パルンソンE&A/CJエンタテインメント、ビターズ・エンド |
映画『パラサイト半地下の家族』原作
映画『パラサイト 半地下の家族 』原作
原作・脚本:ポン・ジュノ
『パラサイト 半地下の家族』の記者会見で、ポン・ジュノ監督がこんなことを話していました。
「おそらく、海外の観客はこの作品を100%理解することはできないだろう。この作品はあまりにも韓国的で、韓国の観客が見てようやく理解できるディティールが散りばめられている。」
ということは、やっと韓国の観客が見て理解できるのなら、到底私たちは2~3度でも観ないと理解できないのだろうな~と思った次第です。
余分な知識や教養というものは不要!だそうですね。
私なりに『パラサイト 半地下の家族』を観終わって、ふと考えたのが、『パラサイト半地下の家族』に原作はあるのかな?ってっこと。
後述もしていきますが、キャストともに、脚本がよくできていたのが印象的でした。
原作は?というと実際にあったわけではなく、ポン・ジュノ監督によるオリジナル脚本でした。
ポン監督が20代前半の頃に、ソウルで裕福な家庭の息子の家庭教師をしていた経験があったそう。
それを舞台製作向けに置換えることを構想しつつ、(ほかの作品もつくっていくなかで、)頭の中にあった隠しアイテムを、脚本化していったそうです。
そういえば私も大学生のときに、(一時期ですが)家庭教師もやってみました。
それも土台となって教職も目指しました。
そんな監督には、ちょっとした親近感を感じました。
例えアルバイトの家庭教師でも「評価」も付きもの。
最終的には生徒を高校なり、大学に合格させること!
これを成就させることが家庭教師の使命でもあり、次のアルバイトに繋がる生命になっていくのです。
“超”高学歴社会の韓国。
脚本は、ポン監督の家庭教師の経験がベースとなっています。
映画『パラサイト 半地下の家族』内容・考察
『パラサイト 半地下の家族』の見どころなのですが、映画公開当時、かなり「ネタバレ禁止!」が徹底されていましたね。
以下、内容・考察ですが伏線でもあるのですよ!
韓国って隣国にあるのに、あまり韓国社会のこと、韓国映画のことって分からないことって多くありませんか?
実際、私もそうなのですが・・・。2000年代には韓流ブームを起きていたわけですがね。
なので、軽く「韓国」のお国柄について、軽く知識・教養について入れておいたほうが良いのかなと思いました。
韓国の上流下流(「富豪層」~「貧困層」)の構造については、そんなに詳しくなくても良いと思います。
でも、韓国が日本以上に”超”高学歴社会であり、格差社会であり、それは日本人も想像できない過酷な世界だることは、知られています。
これからはじめて『パラサイト 半地下の家族』を観る方に、2~3度観る方に、ネタバレにはならない程度に、以下にいくつかのキーワードを挙げておきます。
それら自体がキーワードであり、見どころなので、『パラサイト 半地下の家族』を楽しめるのではないかと思います。
①「半地下」
サブタイトルにある「半地下の家族」。
実は邦題をつける際につけられたもので、パラサイトの意味は寄生虫。
富裕層の主人、奥さんに仕事を採用してもらい、寄生した半地下の家族(貧乏家族)といったところでしょうか。
「半地下の家族」があることで、作品が理解しやすくなっていきます!
劇場予告動画でも見ることができるのですが、この全員失業中のキム一家が住むのは”半地下住宅”。
貧乏家族です。
この「半地下住宅」ですが、まず日本でお目見えするような住宅構造ではありません。
なぜこのような「半地下住宅」があるのかというと、今は休戦となっていますが、韓国・北朝鮮との朝鮮戦争の影響(名残)によるものです。
戦争が勃発して国のほうで「防空壕を兼ねた半地下室を作るように義務付けられていた」からです。
すでに朝鮮戦争から70年という年月が経過していますが、今でも韓国ならでは見られる賃貸物件なんだそうです。
日本人は地下のある物件にどこか憧れるところってありませんか?
私も一瞬だけこんな「半地下住宅」ってあるんだと思って、感心したのだけど。
でも、あまりにも古臭くて、昔でいう便所だけは家のなかでもっとも高い場所にあったところから、気を引いてしまいました。こんなの有り!?(実際に大雨で浸水しちゃうし・・・(´;ω;`)
それから「半地下住宅」から見える、酔っ払いの立ちション、便器から漏れる汚水・・・。
う~ん、これも嫌ですね。
日当たりも悪そうで、結露やカビで不衛生。防犯やプライバシーにもかなり問題あり!
とはいえ、家賃が安く抑えられた物件ということで、今でも韓国にはこのような「半地下住宅」が残っていて、貧困層の居住のひとつになっているのだそうです。
こんな半地下の住宅が防空壕であったとか、住宅不足で今でも賃貸に利用されているとかで、韓国の暮らし方や生活習慣、家族の在り方など、私なりに関心を持ちました。
一方で「半地下住宅」の上にある高台には、富裕層の住む豪邸があります。
日本もどこかそのような土地ってありませんか?
洋画でもありますよね。見晴らしの良さで丘とかに、富裕層の住むイメージがあります。
これは万国共通な気がしますね。
この作品は「地下」が第一のキーワードだと思います。
富裕層の住む豪邸のなかの「階段」、豪邸から「半地下住宅」へ。
ポン監督も話しされていましたが、金持ちは見上げるように、貧乏人は見下げるような映像のカメラワークまで凝っているそう。
ヒント:「なんでこんなところに、見知らぬ人がすんでいるんだ!」
ここも必見でして、貧困層のなかにも更に格差が拡がっており、その下の貧困層をも描いていることも付け加えておきます。
②「格差問題」
だいたい世界共通して「富豪層」「一般・中間層」「貧困層」の各層というのが、存在します。
半地下住宅に住むキム一家は全員が失業中で、生活も苦しく「貧困層」にあたるわけですが・・・。
どうなのでしょう、どんな映画やアニメを見てもそうですが、生まれた家が裕福か、貧しいかで人が分けられるかといったら、そうでもないな〜というのを実感しています。
『パラサイト 半地下の家族』を観た人のなかには、日本でいう戦後や昭和時代のように、極端に悪意の金持ち、善意の貧乏人を描いたほうが良い!という声もあるようです。
そうなると、どこか時代錯誤な感じと、率直に感じました。
本当なら「善・悪」「黒・白」などがついて、分かりやすいのですが、なかなか表沙汰にはできない、グレーな感じになってきているのが、世の常ではないでしょうか?
『パラサイト 半地下の家族』においても「富豪層」「貧困層」の別はあっても、なかなか「善・悪」「黒・白」を感じることはなく、むしろどちらの家族にも家族愛があって、富豪層なりの、貧困層なりの父親、母親、子どもたちが描かれているのです。
ただし、今も昔も変わらないな〜と思うことは、「富豪層」「貧困層」って言いますが、各層の生活に慣れてしまい、それが当たり前になってしまうと、自然と言葉や行動といった匂い(臭い)が染みついてしまうものなんだなと、つくづく思うわけです。
裕福な家柄であれば、子どもたちもそのように育ち、振る舞いもそれなりに身につきますし、そうでなければそうなっていくし・・。
③無意識のなかにある「臭い/匂い」
人の視覚(眼)と聴覚(耳)から得られる情報量というのは、全体で9割超も示すのだそうです。
それらは、例えばビジネスや恋愛などの「着こなし」や「話し方」に相通じるところがあって、非常に重要!なのだそうです。
(話が進むとお気づかれると思いますが、)貧乏家族で失業中の家族4人が、身なり整え、それなりの話し方で富豪層の主人に、夫人に雇い入れられたのには納得いくはずです。
富豪層一家の主人は、貧乏家族の3番手で、父親を「運転手」として雇い入れました。
父親の仕事ぶりには評価していたのに、父親はやってしまいます!
主人は「貧乏人の臭い(におい)」に気づいてしまったのです。
あの「生乾きの臭い=地下の臭い」で。
主人の無意識のなかにある「臭い」という些細なきっかけで、父親が悪へ転落していくことになろうとは!
どうみても父親は、運転中にも主人が「臭い(くさい)」という屈辱を感じているのでは?と感じていたはずなのに、そのことを「棚置き「置き去り」にしてしまったのでした。
自分でも「臭い」と分かっていたはずなのに!
自分への恨みとか腹立ちがとっさに出てきて・・・。
日本でも、スメルハラスメント(スメハラ)の認識が、その領域に広がりをみせています。
私の経験で一時期困ったのが、意図的に香らせている香水や柔軟剤など、良いほうの「匂い」でした。
何だか変な頭痛や吐き気に悩まされたんですよね。
“匂い”か“臭い”だけで、その人の持っている印象っても随分と異なっていきます。
今後とも、十分に気をつけたほうが良いなと、思いました。
④「韓国社会という姿」
『パラサイト半地下の家族』の展開ですが、前半はコメディ、後半はスリラー&ホラーという感じで展開していきます。
富豪層と貧困層といった「格差問題」だけでなく、時折「社会問題」も盛り込まれています。
超高学歴問題が分かりやすいですし、昨今の気候変動で大雨が降って街中が冠水したり・・・。
「半地下住宅」に住む貧困層のキム家族。
家族4人が能力で長けていたのは、スマートフォンを持っていたということ。
それが、キム家族の唯一の救いなのかなと思うのです。
日本以上に、韓国はIT・情報のレベルといい技術も発展しています。
それゆえにIT・情報薄弱者は、社会から脱落していくわけですが・・・。
言葉を悪く言うならば、「半地下住宅」に住む貧困層とは思えない振る舞いや言動が、スマートフォンで嘘でもいい、事前のリサーチを行い、周知に準備して、仕事を得たいがために富裕層に送り込んでいく・・・。
雇われていく様は見事だと、私は直に思ったのですがすごくありませんか(一種の詐欺!?なんだろうけど)。
家族は、長男⇒長女⇒父親⇒母親の順に富裕層に送り込まれます。
「半地下住宅」に住む貧乏家族ですし、一種の詐欺!?なはずなのに、どこも憎まれるところもないところになるのが不思議。そこには、貧乏家族ならではの愛情やら支えがあるように思いました。
家族一人ひとりの持つ能力って皆違うし、「すごい能力だな」と感心したのですが、なかでも、長女(女優:パク・ソダム)の役が、とても光って見えましたね。
・半地下住宅に住んでいる彼女 ・偽造証書を作成してしまう彼女 ・子どもカウンセラー兼芸術学を教える家庭教師の彼女 ・コンタクトセンター!?低音に話してしまう彼女 ・酔って犬用ジャーキーを食べちゃった!?彼女 ・パーティドレスを着た彼女 ・ひん死の彼女 |
何かと器用なところな長女の極めつけシーンは、浸水した半地下住宅なのに、汚水で噴き出る便座の蓋のうえで喫煙するところ・・・最高です( ´艸`)
こんなに立派な能力を持っていても、お金がないと上の層へ上っていけない韓国社会って、なんて苦しい社会なんだろうと思った次第です。
それに比べたら・・・。
日本社会は今「一般・中間層」と呼ばれるところで、「貧困層」に陥ってしまうケースが目立っているといいます。
少しずつですが、やり直しが効きづらくなってきている時代に入っている気がしてなりません。
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映画『パラサイト 半地下の家族』関連作品
関連作として、『誰も知らない』(2004) 『万引き家族』(2018) 『はちどり』(2018)『ノマドランド』(2020)を取り上げます。
これらの映画は、社会の縁に住む人々の生活や心情を描いた作品です。それぞれの映画には、家族やコミュニティとの関係、自分の居場所やアイデンティティを探す旅、貧困や孤独といった問題がテーマとして含まれています。また、ドキュメンタリー的な手法やノンプロフェッショナルな俳優の起用など、リアリズムを追求する演出も共通しています。
以下の作品のDVDパッケージ「画像」をクリックすると、Amazon・楽天で作品詳細等を確認することができます。
『誰も知らない』(2004)
監督 : 是枝裕和
出演:柳楽優弥、北浦 愛、木村飛影、清水萌々子、韓英恵、YOU
制作秘話: 監督の是枝裕和が、家族の絆や困難な状況を描く際に、リアルな演技を引き出すために、キャストと一緒に台本を書かない手法を採用しました。これにより、自然な対話と感情が映画に表れました。主演の柳楽優弥は本作で第57回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞し、本作は第77回アカデミー賞外国語映画賞に日本代表として出品されました。
『万引き家族』(2018)
~あらすじ~
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金だ。それで足りないものは、万引きでまかなっていた。社会という海の、底を這うように暮らす家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、治と祥太は、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねて家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──出典:TSUTAYA DISCAS
監督 : 是枝裕和
出演 : リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏 佐々木みゆ
制作秘話: 監督の是枝裕和が、血のつながりのない5人が家族を装って暮らす姿を描く。
家族の絆や困難な状況を描く際に、リアルな演技を引き出すために、キャストと一緒に台本を書かない手法を採用しました。これにより、自然な対話と感情が映画に表れました。主演のリリー・フランキーは、その演技で注目を浴び、カンヌ国際映画祭で賞を受賞しました。また、第91回アカデミー賞外国語映画賞に日本代表として出品されました。主演のリリー・フランキーと安藤サクラは第42回日本アカデミー賞で優秀主演男優賞と最優秀主演女優賞を受賞しました。
『はちどり』(2018)
~あらすじ~
1994年、ソウル。家族と集合団地で暮らす14歳のウニは、学校に馴染めず、別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごしていた。両親は小さな店を必死に切り盛りし、子供達の心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。ウニは、自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。ヨンジは、ウニにとって初めて自分の人生を気にかけてくれる大人だった。ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは、いつも姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だった。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く―。出典:TSUTAYA DISCAS
監督 : キム・ボラ
出演 : パク・ジフ、 キム・セビョク、 イ・スンヨン、 チョン・インギ、 パク・スヨン
『ノマドランド』(2020)
~あらすじ~
企業の倒産とともに、長年住み慣れた企業城下町の住処を失った女性、ファーン。彼女の選択は、一台の車に亡き夫との思い出を詰め込んで、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。
毎日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うノマドたちとの心の交流とともに、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていく…
大きな反響を生んだ原作ノンフィクションをもとに、実在のノマドたちとともに新しい時代を生き抜く希望を、広大な西部の自然の中で発見するロードムービー。
出典:Amazon
監督:クロエ・ジャオ
出演:フランシス・マクドーマンド、デヴィッド・ストラザーン、リンダ・メイ、シャーリーン・スワンキー、ボブ・ウェルズ
映画『ノマドランド』は、ジャーナリストのジェシカ・ブルーダーが書いたノンフィクションを原作とした作品です。2008年の金融危機で家を失った女性が、キャンピングカーでアメリカを旅しながら働く姿を描いています。主演のフランシス・マクドーマンドは本作で第93回アカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。また、本作は第77回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞しました。
映画『パラサイト 半地下の家族』(見どころ・感想)
映画『パラサイト 半地下の家族』口コミ(見どころ・感想)
現代の社会問題を皮肉に描きゾッとするような人間の心理も表現できているので、世界から評価を得ていることに納得です。
アカデミー賞の作品賞を受賞したポン・ジュノ監督作品です。
前半はキム家があらゆる知恵を使い、パク家の家庭教師、運転手、家政婦としてパク家に入り込みパラサイトしていきます。
その入り込み方がとても通快で気持ちがいいです。順調にみえるキム家ですが、ある雨の日の出来事をきっかけに一気に不穏な雰囲気に漂わせられる物語り変わります。
この変化の展開がとてもうまく、そこから社会問題とされる格差社会や差別などを皮肉に描かれているのもうまく演出されています。
エンターテインメントと社会派が同時に味わえることができます。
~感想~
1作の映画の中にコメディ、サスペンス、社会問題など様々な要素が含まれたストーリーでとても贅沢な満足度が高い映画だったと思います。
キム家の長男がパク家の家庭教師になったのをきっかけにキム家全員がパク家の運転手や家政婦として雇われていきます。
その計画性は完璧で気持ちがいいくらいに成功していきます。
ですが、ある出来事をきっかけにそれがみるみる崩れていき人間の底辺を感じさせる醜い部分を見せられることにもなります。その変化する瞬間がとてもうまく、そこからさらに物語りにグッと引き込まれていきました。
笑いも入れながら、現代の社会問題を皮肉に描きゾッとするような人間の心理も表現できているので、世界から評価を得ていることに納得できる映画です。
ああ!すごい大どんでん返し。
前半と後半のギャップがとんでもないです。まさに大どんでん返しが待っている名作。最後の最後には、背筋が凍る思いをすることは間違いなし。
しかし、貧富の差をひたすら残酷に暗く描くのではなく、笑えるシーンもかなりあり、エンタメとしてきちんと機能しているところがこの映画が素晴らしい理由だと思います。
また、韓国作品は映像が綺麗なのも特徴の一つだと思っています。
お金持ち家族の「幸せそうな」美しく明るい家のホームパーティの場面はまさに映えています。
しかし、そんな映た映像で、強烈なシーンも描く。そのギャップもすごいと思います。
~感想~
前半は面白くてとにかく笑いました。
中盤で、「この後いったいどう落とすんだろう…?」と考えていると、まさかの方向に…。
アジア作品にも関わらず、アカデミー賞作品賞受賞作でもあるこの作品は、その評価に恥じぬ名作だと思います。
貧富の差の悲惨さや「持てるもの」の鈍感さなども痛烈に描きつつ、「ジョーカー」のように説教くさかったり、暗すぎるわけではなくエンターテインメントとしてかなり楽しく見れるところが本当にすごいです。
韓国らしい「家族」がテーマの作品ですが、いい意味で「韓国ドラマ」らしさのない内容です。いわゆる「韓国ドラマ」が苦手な人にもぜひ見てもらいたい。
きっとラストシーンは特に美しい映像とゾクゾクする展開で、韓国の映像作品のレベルの高さを感じることができると思います。
映画『パラサイト 半地下の家族』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 6.86 | 8.6 | 4.1 | 4.0 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2023年10月4日時点のものです。
映画『パラサイト 半地下の家族』まとめ
映画『パラサイト 半地下の家族』から。人生は一度限り!
私が中高生のとき「バブル時代」を過ごしました。
「富豪層」であろう、親が建築業を営んでいる先輩や同学年の人がいました。
でも、バブルも弾けて経営する会社が破産・・・。
とうとう夜逃げしちゃった、というのを、初めて見聞きしました。
現実にこんなことがあるのだと、正直驚きました。
上の層から転落して貧乏になってしまう人もいる。
どん底、いや平坦でもいい。頑張ってチャンスをモノにして上の層の生活を手に人もいる。
人生は一度限り。
「生まれ」「運」「努力」「環境」「神」・・・。
誰が決めることなのか、本当のところ誰にも分からない気がします。
映画『パラサイト 半地下の家族』アカデミー賞の歴史が変わった瞬間
韓国映画『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)は、第92回アカデミー賞で「作品賞」ほか4部門※で受賞しました。
※受賞:作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門
第92回・アカデミー賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』。
先行試写会や映画館で観ることができたら良かったのですが、コロナ禍で観ることができず・・・。
振り返ってみれば、なかなか韓国映画を見る機会はなくて、ずっと”洋画”ばかり観ていました。動画視聴ができるようになったので、「たまには韓国映画見ようかな」と思いました。
『パラサイト 半地下の家族』は当時、「国際長編映画賞」は有力視されていましたが、外国語映画として初の「作品賞」となるのか否かも話題になっていましたね。
アカデミー賞の歴史を見てみると、音声が英語以外で公開される映画(※)であっても、作品賞を含むアカデミー賞にノミネートすることはありました。しかし「作品賞」に受賞することは無かったのです。
※アメリカ以外の国で製作された映画でも可。
そして、2020年2月10日。
アカデミー賞の歴史が変わった瞬間。
『パラサイト 半地下の家族』が、外国語映画として「作品賞」を受賞し、韓国初そしてアジア初の快挙に至ったわけです。
今回の受賞の背景にはアカデミーの変革があり、これまでの会員から約2,000人ほど増やして、アメリカだけでなく世界各国にも会員が散らばっていく形となりました。結果的に、様々な映画のあれこれが注目されることとなりました。
加えて、これまで映画館などスクリーンなどでしか観ることができなかった映画ですが、Netflixをみるように、世界各国で動画配信サービス(VOD)が観る事ができることで、映画や動画の製作者側、そして見る側との間にあった垣根が低くなってきたことが挙げられます。
今回の受賞で、日本の作品にも弾みが出て、近いうちに受賞する日が来るかもしれません。
映画『パラサイト 半地下の家族』エンタメのまとめ
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