・『鬼婆』(1964)の舞台は、14世紀の南北朝の戦乱の世。田舎の村で・・・。モノクロ・ホラー映画。
・『鬼婆』の作風は、人間の三大欲求でもある「食欲」「睡眠欲」「性欲」をも追求した内容となっている。
・『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)で主演したミュージシャン女優のビョークは、幼少のころに『鬼婆』を見て日本に強い興味を抱いたという。
・関連作:関連作: 『雨月物語』(1953) 『砂の女』(1964) 『清作の妻』(1965) 『鬼が来た!』(2000)
映画『鬼婆』あらすじ・動画
映画『鬼婆』あらすじ
~あらすじ~
時は戦国時代。落武者を殺してはその武器と鎧を売りさばいている娘とその義母がいた。義母は娘が男と恋仲になったことを知ると、嫉妬のあまり般若の面を付けて二人を襲う。ところがその面が取れなくなって……。出典:Yahoo!映画
映画『鬼婆』予告動画
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映画『鬼婆』監督・キャスト、原作紹介
映画『鬼婆』基本情報
本作(タイトル) | 鬼婆/ONIBABA |
公開年 | 1964年 |
上映時間/再生時間 | 1時間43分 |
監督 | 新藤兼人 |
キャスト | 義母・・・乙羽信子 若い女・・・吉村実子 八・・・佐藤慶 牛・・・殿山泰司 鬼面の武将・・・宇野重吉 落武者・・・松本染升 落武者・・・加地健太郎 老婆・・・田中筆子 |
音楽 | 林光 |
主な受賞歴 | ― |
制作会社/配給元 | 近代映画協会、東京映画/東宝 |
映画『鬼婆』原作紹介
脚本:新藤兼人
映画『鬼婆』関連作品
人間の女性が宿業や怨念によって鬼と化したのが鬼女といい、老婆姿のものを「鬼婆(おにばば)」。
有名な伝承として、「安達ヶ原の鬼婆(福島県二本松市)」や「浅茅ヶ原の鬼婆(東京都台東区花川戸)」などが知られています。
以下の作品のDVDパッケージ「画像」をクリックすると、Amazon・楽天で作品詳細等を確認することができます。
『雨月物語』(1953)
~あらすじ~
戦国の世、貧しい陶工・源十郎が若狭姫という女性と知り合い、生活をともにするようになる。だが美しい若狭姫の正体は死霊であった。それを知った源十郎は若狭姫を捨てて故郷に逃げるが、彼女の怨念は執拗に追いすがる……。出典:TSUTAYA DISCAS
監督:溝口健二
出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄太郎
・第14回ヴェネチア国際映画祭(1953年)銀獅子賞(最優秀監督賞)
『砂の女』(1964)
~あらすじ~
砂丘地帯に昆虫採集にやってきた高校教師(岡田英次)は、その砂の穴の中で暮らす後家(岸田今日子)の家に一夜の宿を借りる。しかし、次々とこぼれ落ちる砂をかきだしているうちに、教師はその穴の中から脱出できなくなっていることに気づき、もがき、そしていつしか後家と情欲で結ばれ、その穴の中に同化していく…。出典:Amazon
監督:勅使河原宏
脚本:安部公房
出演:岡田英次、三井弘次、岸田今日子、伊藤弘子
・第17回カンヌ国際映画祭(1964年)グランプリ(審査員特別グランプリ・審査員特別賞)
・第15回ブルーリボン賞(1965年)作品賞
『清作の妻』(1965)
~あらすじ~
舞台は、日露戦争時代の貧しい農村。
愛する夫・清作を戦争にやるまいと、妻・お兼は恐ろしい行動に出る……。
戦争という状況の中で、愛する夫のために戦う女の凄まじさと、その凄まじさの中にある美しさを描き出す。出典:Amazon
監督:増村保造
出演:若尾文子、田村高廣、成田三樹、夫紺野ユカ
『鬼が来た!』(2000)
~あらすじ~
第2次世界大戦の終結が迫りつつあった1945年の旧正月直前。中国・華北の寒村、掛甲台(コアチアタイ)村。深夜、青年マー・ターサンのもとに“私”と名乗る男が現れ、拳銃を突き付け2つの麻袋をマーに押しつける。中にはそれぞれ、日本兵と通訳の中国人が入れられていた。“私”はそれを晦日まで預かるよう脅して去っていった。マーは慌てて村の長老たちに相談する。もし日本軍に見つかれば村人の命はない。結局約束の日まで2人を匿うことになる。最初、日本兵の花屋は、囚われの身で生きるのは日本軍人の恥、早く殺せとわめくのだったが……。出典:Yahoo!映画
監督:チアン・ウェン
出演:チアン・ウェン、香川照之(市川中車)、チアン・ホンポー、ユエン・ティン、ツォン・チーチュン
・第53回カンヌ国際映画祭(2000年)グランプリ(審査員特別グランプリ・審査員特別賞)
映画『鬼婆』口コミ(見どころ・感想)
映画『鬼婆』口コミ(見どころ・感想)
乙羽さんの時代の映画は、今私たちが観てもとても新鮮に思えるところが多いです。
乙羽信子さんは自分たちの時代には、多くがテレビのホームドラマでお目にかかっていたみたいです。
白黒の「鬼婆」は広い河原の葦などが生い茂った中に、戦さから逃げてきた姑と嫁が死にかけた侍の武具を取り去り売りさばいて生きていました。
見どころとしては、侍の二人を大きな穴に落として止めをさすというのか、わざわざそこまで死体を運んでいます。
息子の相棒だけが戦さから生き延びて帰ってくるのですが、嫁との間にいさかいが始まります。
白黒の映画というのは、時代を感じさせますがそれが逆に新鮮に感じました。
乙羽さんの肩にかかる光の取り方が何ともいえず、時代の懐かしさを思い起しました。また、馬にまたがる戦さの侍たちのパワーが半端ではなかったです。
~感想~
乙羽さんの時代の映画は、今私たちが観てもとても新鮮に思えるところが多いです。「何が起こるのだろうか?」と女ふたりの河原での生活は興味深いです。
ちょうど戦いの中で、村の人々はほとんどが山の方へと逃げてしまったのに、なぜ二人は河原に残り周りの叢に隠れるようにしていたのか?
武具を売ってもわずかの食糧にしかならないのに、危険を冒してまでそこで生活しようとしていた。
また、息子の連れが帰ってきたときには、嫁に嫉妬を強く感じる親を演じていました。
偉いお坊さんのせいにして、いろいろと嫁を連れに合わせないように策略していたみたいです。
人間の本能にまみれた世界を見てみて欲しいです。
本作の見所は何と言っても主演の乙羽信子の圧倒的な存在感でしょう!
白黒のダイナミックな画面の中でも、襤褸(ボロ)をまとった落ち武者狩りの老女の姿はくっきり過ぎるほどに浮かび上がっています。
彼女が叫ぶ姿は鬼のようでもあり、いや、我々と寸分違わぬ人間のようでもあり、圧倒されながらも考えされられます。
時代劇でありながら、人間の『生』と『性』という根幹的な部分に踏み込んだシナリオも見応え充分。
太鼓がドンドコなっているBGMも、心臓の音を聞かされているような不安感と躍動感を伝えており、素晴らしかった。
鬼才・新藤兼人の名を世界に轟かせた名作ですので、ゼヒともオススメしたいです。
~感想~
「ワシは人間じゃあああっ」と叫ぶ、乙羽信子演じる落ち武者狩りの老女。
彼女と娘は逃げ延びてきた落ち武者に、容赦ないトドメを刺して身ぐるみを剥ぎ、生計を立てています。
おぞましい鬼のような姿ではあるものの、そこに居るのは紛れもなく人間そのものであり、「鬼婆」とは即ち、私達自身を指しているのかもしれない。
いや、難しいコトを書いてしまいましたが、肩に力を入れずにお化け屋敷でも覗くような感覚で、この人間の本能にまみれた世界を見てみて欲しいです。
映画『鬼婆』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 7.0 | 8.0 | 4.0 | 3.84 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? ・Yahoo!運営 |
※本作品の評価情報は2023年10月21日時点のものです。
映画『鬼婆』まとめ
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