POINT:
・『すずめの戸締まり』(2022)は日本のアニメーション映画で、新海誠が脚本を描き、監督も務めた。
・『すずめの戸締まり』の主題は少女の解放と成長を描いたロードムービーで、日本各地の廃墟を舞台にしている。
・新海誠監督は、東日本大震災をテーマに本作を制作し、震災で親を失い故郷を離れた女子高生を主人公として描いている。地方の過疎化や廃墟に着目し、物語の原型を「場所を悼む」ことから生まれた。
・『すずめの戸締まり』公開後、ファンによる「聖地巡礼」が盛んに行われている。
・『すずめの戸締まり』の音楽はRADWIMPSが担当。劇伴や主題歌を収録したアルバムが発売された。
・興行成績は記録的であり、日本国内外で高い評価を受けた。興行収入や観客動員数は『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)に続く記録を達成した。
・関連作:『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)、『君たちはどう生きるか』(2023)
アニメ映画『すずめの戸締まり』あらすじ・動画
アニメ映画『すずめの戸締まり』あらすじ
~あらすじ~
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。
扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。
すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。
「すずめ すき」「おまえは じゃま」
ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!
それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。
逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。
出典:Amazon
アニメ映画『すずめの戸締まり』予告動画
『すずめの戸締まり』予告
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アニメ映画『すずめの戸締まり』監督・キャスト、原作紹介
アニメ映画『すずめの戸締まり』基本情報
本作(タイトル) | すずめの戸締まり/Suzume |
公開年 | 2021年 |
上映時間/再生時間 | 2時間1分 |
監督 | 新海誠 |
キャスト | 岩戸鈴芽・・・原菜乃華 宗像草太・・・松村北斗 岩戸環・・・深津絵里 宗像羊朗・・・松本白鸚 岡部稔・・・染谷将太 二ノ宮ルミ・・・伊藤沙莉 岩戸椿芽・・・花澤香菜 芹澤朋也・・・神木隆之介 |
音楽 | 主題歌:「すずめ feat. 十明」/「カナタハルカ」RADWIMPS 挿入曲:「ルージュの伝言」荒井由実、「SWEET MEMORIES」松田聖子、「夢の中へ」井上陽水、「卒業」斉藤由貴、「バレンタイン・キッス」 国生さゆり、「けんかをやめて」河合奈保子 |
主な受賞歴 | ・第46回日本アカデミー賞(2023年)優秀アニメーション作品賞/最優秀音楽賞/話題賞 俳優部門 ・クランチロール・アニメアワード2024最優秀長編アニメ賞 ・第41回ゴールデングロス賞日本映画部門 優秀・銀賞 |
制作会社/配給元 | 「すずめの戸締まり」製作委員会(コミックス・ウェーブ・フィルム、東宝、KADOKAWA、アニプレックス) |
アニメ映画『すずめの戸締まり』原作紹介
原作: 脚本:新海誠
アニメ映画『すずめの戸締まり』関連作品
新海誠監督の『君の名は。』(2016)と『天気の子』(2019)は、共に日本アニメーション界の金字塔として高く評価されています。
両作品に共通する大きな要素として、斬新な設定とたゆまぬ実験心があげられます。『君の名は。』では男女の魂が入れ替わるという前代未聞の設定が話題となり、『天気の子』では異常気象と青年の祈りが関係する世界観が描かれました。新海監督は常に新しい発想から作品を立ち上げ、アニメーションの可能性を広げ続けています。
制作秘話ですが、両作品ともに圧倒的な作画の緻密さが際立っています。
『君の名は。』では、東京の路地裏に実在する場所を忠実に再現する作業が行われ、『天気の子』では東京の細かい表情を捉えるため、スタッフが実際に現地で撮影を重ねたそうです。こうした地道な作業が、作品の高い臨場感と質の高さにつながっています。
また、これらの作品が大ヒットを記録した背景には、コアなアニメファンだけでなく幅広い層への浸透力があったことがあげられます。『君の名は。』は若年層から熟年層まで支持を集め、『天気の子』は多くの女性層から共感を得ました。ストーリーと世界観の魅力が、垣根を越えた支持層の広がりにつながったのです。
このように、新海誠監督の作品には、常に新しい挑戦と高い完成度の追求があり、それがアニメファンだけでなく広範な層に受け入れられる土台となっています。革新と傑作の両立は、監督の卓越した才能の賜物だと言えるでしょう。
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『君の名は。』(2016)
~あらすじ~
千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。ある日、自分が男の子になる夢を見る。見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。都会での生活を満喫する三葉。一方、東京で暮らす男子高校生・瀧も奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。繰り返される不思議な夢、明らかに抜け落ちている記憶と時間。二人はお互いが入れ替わっていることに気付く。何度も入れ替わる事に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める二人。残されたお互いのメモを通して、状況を乗り切っていく。しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心。辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた…。
出典:Amazon
監督:新海誠
声優:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子、成田凌
・第40回日本アカデミー賞(2017年)/最優秀脚本賞
・第42回ロサンゼルス映画批評家協会賞(2016年)/アニメ映画賞
『天気の子』(2019)
~あらすじ~
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった
出典:Amazon
監督:新海誠
出演:醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成
・第43回日本アカデミー賞(2020年)/最優秀アニメーション作品賞
・第11回TAMA映画賞(2019年)/特別賞
アニメ映画『すずめの戸締まり』関連作品
『君たちはどう生きるか』(2023)
~あらすじ~
~あらすじ~
著者がコペル君の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か。それは、人生いかに生くべきかと問うとき、常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われねばならぬ、というメッセージであった。
出典:Amazon
監督:宮崎駿
声優:山時聡真、菅田将暉、柴咲コウ、あいみょん、木村佳乃、木村拓哉、阿川佐和子、滝沢カレン、竹下景子、風吹ジュン
・第96回アカデミー賞(2024年)長編アニメ映画賞
・第81回ゴールデングローブ賞(2024年)アニメ映画賞
・第77回英国アカデミー賞(2024年)アニメ映画賞 ほか多数受賞
アニメ映画『すずめの戸締まり』口コミ(見どころ・感想)
アニメ映画『すずめの戸締まり』口コミ(見どころ・感想)
災害をテーマにした作品に、オカルトや陰陽師の要素を取り入れることに対して、賛否両論があることは確かです。
しかし、個人的に言えば、これまでに観た新海誠監督の作品の中で、この作品が一番好きです。
作品内で「いってきます」「ただいま」「おかえりなさい」という言葉が特に印象的で、大切な人たちに伝えられなかった言葉があることを考えるだけで涙が出ました。
日常や生活の当たり前さがとても尊いものだと感じさせられました。
また、すずめが「未来なんて怖くない」と言っていた部分も印象的で、立ち止まっている人々を後押しするような強さや温かさを感じました。
声優陣の演技も素晴らしく、作画も非常に美しかったです。
田舎の風景や人々の情緒を描く一方で、無関心な大都会との対比、乱立するテーマパークや廃墟となった施設、人口減少による廃校と、健気に生きる中小旅館やスナックなどとの対比も描かれていました。
ジェンダー格差が依然として存在する中、以前から強い女性たちがいたことも描かれており、災害や過去との向き合い方、助け合いの精神などが描かれていました。
最後に、困った時はお互い様の助け合いが大切であるというメッセージも強調されていました。
この作品は、日本の姿を、全国を巡るロードムービー形式で描いた意欲的な作品であり、陽気にまとめられた新海監督の手腕が際立っています。
なぜか、昭和50年代の映画「トラック野郎 一番星」を思い出してしまいました。
今回の主人公は女子高生ですが、困っている人に放っておけない熱血行動派で、少々おっちょこちょいな性格。
周囲も彼女を放っておけず、助けたくなるキャラクター像が本当に魅力的です。
この点が、私のような中年世代にも訴える部分かもしれませんね。
『すずめの戸締まり』は、映画『星を追う子ども』(2011)にも通じる要素がたくさん感じられました。
『星を追う子ども』には、いくつかの要素が最後まできちんと結びつかず、鑑賞後も満足感を得られない部分があると感じました。
しかし、いくつかのシーンやセリフは記憶に残り、思わず久しぶりに再見してみました。
映画制作の規模や技術が向上した現在でも、感情的な重みを考えると私にとっては『星を追う子ども』の方が深く心に残り、そのシーンや物語が印象的であると感じます。
特に印象に残っているのは、夜勤明けの母親が車の横でタバコを吸いながら家に入るシーンや、娘が朝ご飯を一緒に食べようとするシーンです。
また『すずめの戸締まり』では別の話ですが、サダイジンに憑依された環が自らの人生を犠牲にしてまで鈴芽の世話をするシーンが印象的でした。
ただ、その後の和解シーンが不釣り合いであったと感じました。
一方、『君の名は。』では瀧と三葉の両者の視点で描かれ、この視点の違いが大ヒットの要因の一つとなったと考えられます。
さらに、『天気の子』は帆高の視点で描かれており、一方、『すずめの戸締まり』は鈴芽の視点で描かれています。そのため、『天気の子』は男性からの支持を得やすく、本作品は女性からの支持を得やすいかもしれません。
映画『秒速5センチメートル』(2007)は主人公である貴樹の視点から物語が描かれています。この作品は男性視聴者を深く感じ入らせる要素を含んでおり、多くの男性ファンを惹きつけています。一方で、女性からはあまり受け入れられない作品でもありました。
これは、監督である新海誠が意図的に男性視点で描いたからだと言われています。
『君の名は。』や『天気の子』なども男性や女性視点から描かれた作品であり、『すずめの戸締まり』も女性目線で描かれた作品です。
将来の作品では、男女双方の視点から描いた作品を期待される声もあります。
新海誠監督は、日本人にとって大地震などの災害が神の意志であり、人間が抗うことのできないものとして捉えられることを理解しているのでは、と考えられています。
しかし、彼の作品は恋しい人に会えないという気持ちの強さを描いたものであり、大災害を物語の要素にすることは避けているようです。
それでも、『すずめの戸締まり』では日本の伝承話が織り交ぜられており、他の作品に比べて違和感を感じる視聴者もいました。
『君の名は。』が素晴らしい作品であることは間違いありません。
商品のパッケージに「新海誠監督、集大成にして最高傑作」と記されている点についても、その言葉は間違いなく『君の名は。』にふさわしいものであり、今回の『すずめの戸締まり』には当てはまらないと感じられるでしょう。
『すずめの戸締まり』は新海監督の映画は、作品の中で一番中身が薄いと感じる人がいるかもしれません。
物事の発端が意味不明であったり、途中で出会う登場人物たちの人間味が感じられなかったり、ラストの解決が大げさに感じられることもあります。(この映画を通じて地震の被害者の心が救われることは難しいと思うかもしれません。)
作品のアイデアが、単なる他人に押し付けられたものを組み合わせただけのようにも感じられるかもしれません。
新海監督が元々ひとりで活動していたのは、他人からの期待に縛られることを嫌っていたこともあるかもしれません。
そのため、才能ある監督が作品を多く出す必要はないと感じる人もいます。
新海監督は、エモーショナルな作風で知られ、映画制作をやめて自分の本当に作りたいものに出会うまで新作を制作しないというスタンスを取っています。
過去作品のリニューアルや、よりクオリティの高いアニメーション作品を作ることを期待する声もあります。
一方、新海監督の映画を観た人からは、充実感を得られる作品であると感じる方もいるでしょう。
初期の作品と比べると、映像のクオリティやストーリーの構成が向上しているという意見もありますが、失った感情の切なさを感じ取れなくなったという声もあります。
これは新海監督の成長や変化を物語っているのかもしれません。
新海監督の作品には、自身が影響を受けた作品や作家の要素が取り入れられていることがあります。
過去にはジブリ作品の影響を受けた映画もありましたし、『すずめの戸締まり』には村上春樹の短編小説「かえるくん東京を救う」からインスピレーションを受けた部分が見られます。
新海監督の映画には、テレビゲーム「ドラゴンクエストⅤ・天空の花嫁」からの影響も感じられる設定が含まれていることもあります。
これらの作品や要素が新海監督の作品に取り込まれることで、視聴者はその世界観を楽しむことができるでしょう。
『君の名は。』で一世を風靡した新海監督ですが、一部のファンはその後の作品について期待と不安を感じています。しかし、最新作を観ると、新たな展開や魅力を発見できるかもしれません。
新海監督の作品が映画ファンにどのような影響を与えるか、今後も注目されるでしょう。
主人公のスズメにとって、東日本大震災が発生したあの日は、一生閉じたくなるくらい特別な出来事だった。
彼女は過去と向き合うことを余儀なくされるストーリーに巻き込まれ、感傷的な気持ちにならざるを得ない。
物語は最初は軽快なムードで進行し、偶然の出来事から、かつて箱入りの娘だったスズメが、彼と出会い、実質的に一人旅をすることになり、途中で出会う人々に助けられながら未知の道を歩むロードムービーとなる。
しかし、後半になると物語はより深刻で重い雰囲気になり、全体像が明らかになり、「なるほど!」と思う一方で、物語があまりに都合よく展開しすぎる部分もある。
美しいアニメーションは何よりも素晴らしく、宮崎、愛媛、兵庫、東京、宮城といったロケーションの美しさや、そこに住む人々の素朴な言葉に癒され、日本人であることを誇りに思わせてくれる。
そして、イケメンで優秀な芹沢くんや、草太くんへの感謝の気持ちが高まる。
スズメちゃんはかわいく勇敢だが、現実にはそんな女子高生はいないだろう。
彼女は活発で体力に溢れ、男子が理想とする女子像を体現している。
アニメは本当に素晴らしいものだと感じさせられる。
アニメ映画『すずめの戸締まり』評価は?
評価サイト | みんなのシネマ(10点満点) | IMDb (10点満点) | Filmarks (5点満点) | Yahoo!映画 (5点満点) |
点数 | 6.77 | 7.6 | 3.9 | 3.9 |
評価サイトの特徴 | ・映画情報/上映中の映画に! ・評論家コラムや、監督やキャストへのインタビュー記事多い | ・海外オンラインデータベース ・Amazon運営 | ・急成長中! SNSシェア強し ・過去作品、評価も厳しめ!? | ・最初に見る。評価甘めかな!? v・Yahoo!運営 |
※本作品の配信情報は2024年3月27日時点のものです。
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アニメ映画『すずめの戸締まり』まとめ
アニメ映画『すずめの戸締まり』エンタメのまとめ
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